第9話2-5:期待


 七海のその提案に私は呆然としてそしてなぜか急に顔が熱くなってきた。



 「だ、だめだめっ! そんな恥ずかしい事!」



 「はぁ? コメント書くのになんで恥ずかしいのよ? 好きなんでしょ、この小説?」


 七海にそう言われもじもじとしてしまう私。



 「だって、急に私なんかがコメント書いたりしたら迷惑じゃないかな? それになんて書けばいいのかな?」


 「おいおい、男の子にラブレター書くんじゃないんだから、落ち着きなさいってば」


 

 「ラ、ラブレター!?」



 優子にそう指摘されドキリとしてから少し落ち着きを取り戻す私。

 確かにラブレター書く訳じゃ無いのに私ったら何をおどおどと。



 「ファンレターなんて好きな作品に自分の思う事や応援、こうなってもらいたいとか、あの場面はこうだったとか書けばいいのよ。常識の範疇で書くならば作者さんにとってはきっと嬉しい事だろうし」


 咲にも言われ私はスマホのその画面をもう一度見る。

 そこには応援コメントがいくつも書かれていた。



 「結構他の人もコメント書いている‥‥‥」



 「だったら真菜も書いてみれば良いじゃない?」


 七海にそう言われ私はみんなの顔を見る。

 なんか気恥ずかしい。



 「あ、後でゆっくり書いてみる!」



 私がそう言うとこのお悩み相談会はお開きとなった。

 まだ少し顔が熱いけどみんなの言う事はもっともだった。


 でも一旦頭を冷やしてからちゃんと書いてみよう。

 

 

 * * * * *



 「さてと、一体何を書こうかな?」



 家に戻りなんやかんやと時間が過ぎ、夕食を食べお風呂に入ってから髪の毛を乾かして自分の部屋に戻る。

 

 その間色々と考えてはいた。

 でもなんとなく考えがまとまらず今に至る。



 「そう言えば、主人公が好きな彼女って私が良く行く場所と似たような所に行くなぁ。そうだ、その事でも書いてみようかな?」



 何気に今までのその主人公が好きな彼女さんの行動が私が学校などでよく行く場所と似たような所で遭遇している場面が多かった。

 おかげで小説の世界と現実の世界が重なる原因でもあるのだけど。



 「へへっ、これで良しっと。この作者さん、みやむーさんってコメントに全部返事書いてくれているみたいだから私のコメントにも何か返してくれるかな? 楽しみだなぁ」




 私はそう言いスマホと閉じて充電器につなげるのだった。

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