第8話2-4:話題


 それは些細な事だったはず。

 でも気になり始めた私にはWeb小説の世界とこの現実世界の接点があまりにも多くてそこに悩んでしまう程だった。



 「あははははっ! 真菜ってそんな事に真剣に悩んでいたの!?」


 「わ、笑う事無いじゃない‥‥‥」


 Web小説否定派の優子はお腹を抱えて笑っていた。

 あの後休み時間が終わるので仕切り直しで放課後にみんなで集まって私の悩みをもう一度話す事になったのだ。


 校舎内の広間にある自動販売機の前で椅子に座りながら私たちは私の悩みについて聞いてもらっていた。


 すると優子はお腹を抱えて笑った。



 「ごめんごめん、まさかそんな事で真剣に悩む人がいるとは思ってもいなかったから!」


 「真菜らしいって言えば真菜らしいよな」


 「真菜ってそう言う所純情だからぁ~」



 優子だけではなく七海も咲もそう言って来る。

 思わず唇を尖らせてしまう私。


 でもみんな私が話をしたら真面目に聞いてくれた。

 私はWeb小説の気になる点をスマホに表示してみんなに見せる。



 「あ~、確かに言われればそう見えて来るかな?」


 「でもこれって読んでいる人の想像によって変わって来るからこの文面だけだとね」


 「そもそもこの話の舞台がうちの高校をモデルにしていたとして何か問題があると言うの?」



 最後に優子にそう言われ私は考えてしまった。

 別にうちの高校がモデルになって何か不都合がある訳でもそれがいけないと言うわけでもない。

 

 でも‥‥‥



 「この作者さんで『みあむー』という人がもしかしたらうちの高校に関係していると思うとなんと言うかうれしいと言うか恥ずかしいと言うか‥‥‥」



 「何それ?」


 「もしそうだとしても別にどうでもいい事なのでは?」


 私のその言葉に七海も優子も特段思う所も無く自分の考えを言う。

 でも咲だけは違っていた。



 「うーん、自分の好きな作者さんがもしかして自分の知っている物を共有するってのはちょっと嬉しいかも」


 「そう、それ! 流石に咲は分かってくれるか!」



 思わず咲の手を取る私。

 咲は乾いた笑いをする。


 そして本題を切り出す。



 「真菜はどうしたいの?」


 「え?」



 言われて初めて自分が何をしたいのか迷った。

 大好きな小説の世界とうちの学校の接点が多かったので単にうれしくなってそして一人であの世界とこの現実世界をごっちゃにして妄想に勝手に悩んでいた。



 「私は‥‥‥」


 

 「あー、じれったい! 真菜さぁ、どうせならその作者さんにコメントか何かでも送ったら? 小説の話がうちの学校に似ているって!」

  


 七海のその提案に思わず呆然とする私だった。


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