第12話

 あらゆる魔力が、通じない龍の爪は、無慈悲に悪魔の身体を握り潰した。


 手に入れた輝石を僕は、握りしめた。


「どうか、死神さんを救ってください」


 すでに消えかけている死神の身体が、再び姿を取り戻し始めた。


「いけない。どんな大きな輝石も願える奇跡は、ひとつしか無い。君の肉体は、助からないぞ」


 必死で死神は、僕を止めた。


「僕は、元々ほぼ死んだ状態です。単に予定通り死ぬだけ。親孝行が出来なかったのは、残念でした。そんな事に巻き込まれて、死神さんがいなくなると、困る人が出てくるでしょう。だいたい僕だって、今回生き残ってもいつか死ぬのだから、困ります」


 死神が、元の姿を取り戻すのを確認すると、僕は意識を失った。

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