第11話
割れた仮面の中から、現れたのは、死神だった。
「何故?」
僕は、混乱していた。突然現れた化け物を退治したと思ってたら、この世界で、僕の事を親身に世話してくれた死神だった。
「奴は、悪魔だ。君には、どう見えているのか分からないが、奴は、人や死神どころか、あらゆる存在をだまして欲しいものを取る悪魔だ」
「僕は、だまされた…」
混乱は続いていた。
「私の感覚をだまして操り、君の姿を認識出来なくして、君と戦うように設定した」
「何故?」
岩の上を見ると、3人のおばあさん達は、ひとりの男の姿に、変わり笑っていた。
「何故?悪魔のする事に理由はないな。面白いからするだけさ。奇跡なんて求めている者は、だましやすいのさ」
死神は、苦しそうに息をした。
「昔、奴が地上で、悪の限りを尽くしていたとき、私が奴を捕らえて、この世界に封じ込めた。奴は、私に復讐するチャンスをずっと伺っていた」
「そうさ。そして、今お前を殺し、その子供の勇気を吸い込んで、力を取り戻した俺は、再び地上で、暴れてやる」
悪魔の姿が、人の姿から、外骨格と長い尾を持ち、赤い目が爛々と光る怪物の姿に変わっていった。
「死神を殺すチャンスは、なかなか無いからな。その子供には、感謝しないとな」
そう言って笑った悪魔の姿を見たとき、僕の中で、何かがはじけた。
「そんなに人が、死んでいくのが楽しいか」
僕の手に持つ剣の光が、まぶしいくらい強くなった。
剣を悪魔に投げつける。
悪魔は、笑いを浮かべたまま、手を前に出して、空間を歪めた。
しかし、光る剣は、歪められた空間を貫き通し、悪魔の胸に真っ直ぐ突き刺さった。
「何?人間ごときに、この身体が傷つけられるなんて」
その時、信じられないといった顔の悪魔の頭上の岩盤が砕け散った。
砕けて、青い空が、覗く天から、降ってきた、爪に悪魔の身体が捕らえられ、穴が空いた部分から、緑色の液体が、飛び散る。
龍の爪だ。
「何故龍が?お前には、もう時間がないはず。俺を殺せば、転生の時期が早まるぞ」
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