第10話
「勇気をあげるとは、どういう事です?」
勇気なんて形の無いものを差し出せと言われても、どうすればよいのか…。
「なに、簡単な事だよ。この怪物を倒してもらえば、良いだけさ」
おばあさん達が、そう言うと、頭上が、光だし、何かが、洞窟に降りてきた。
ほとんど黒に近いグレーのボディと、首から上は、4つの目がオレンジ色に光る仮面を被っている。横に突き出している部分は、耳だろうか?角だろうか?
僕の3倍はあろうかというそいつが、とんでもない大きな剣を僕に振り下ろしてきた。
とっさに、腕を上げて、顔を庇おうとした僕の手は、何故か剣が握られていて、そいつの攻撃を受け止めた。
受け止めはしたが、凄い衝撃だった。病気をしてから、ほとんどベッドで横になっている僕の肉体が、鍛えられているわけもなく、よく受け止められたものだと、我ながら感心した。
僕の手の中に現れた剣は、怪物の持つ剣よりはるかに小ぶりだったが、戦える程度には、丈夫なようだ。
光るその剣を手に身構える。と言っても病気をする前から運動音痴の僕は、我ながらギクシャクした動きだ。
しかし、ここで輝石をあきらめるわけには、いかない。時間もおそらくあまりない。
思い切って僕は、相手の胸もとへ飛び込んでみた。その場で剣を夢中で振りまわす。
短く小回りのきく、僕の攻撃は、浅くではあるが、徐々に相手の巨体を傷つけていき、剣の光も強くなっていった。
剣が光るほどに、相手の動きが鈍くなり、ついには、膝をついた。
僕より相手の顔が、下になる。
剣を上から、思い切り振り下ろす。さすがに、これで頭部に、致命的なダメージを与えられたと思う。
仮面が、割れた。
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