妹の夢は叶わなかっただけどそこで終わりじゃ無い

 妹は歌が好きでお兄ちゃんも一緒に歌ってくれた

二人でいっぱい練習してきた妹の夢は歌手になる事

お兄ちゃんもいつも一緒に歌ってくれた

そして今チャンスがきた、これで受かれば夢に近づく。


 二人で応募したから順番は妹が先で次にお兄ちゃんになった

妹は舞台に立ち歌ったけれど、袖で見守る兄の目てるところで

審査員は全員妹を容赦なく言った

それじゃYESは言えないと正直言ってカラオケみたい

一番厳しい審査員は誰にでもハッキリ言う

妹は袖に向かった、お兄ちゃんにハグしてダメだった

と泣いてしまった、お兄ちゃんは私を強く抱きしめてくれた

大丈夫まだ終わって無いから、見ててと言って次に備える。


 その次はお兄さんの番?

審査員は次は彼女のお兄さんだよね

きっと落ち込んでる、一番厳しい審査員は妹の歌を聴いて

お兄さんも、たいしたことないだろうというのが表情に出てた

観客もその事を聞いて心配そうに出て来るのを待っている。



 妹の結果を知って、兄も緊張していたが、その目には

妹の思いを俺がなんとかやらないと、妹はきっと心が折れて

しまうかもと思い、大きく息を吸ってからステージに向かった。


 兄はステージに立っても緊張は感じられない

審査員は聞いた

「大丈夫?」

 と気を使ってくれたみたいだ

「あなたについて教えてください」

「私は二十六歳です、今日はカバー曲をゆっくり歌います」

 一番厳しい審査員は期待して無い目で見てる

会場で見守る母親もドキドキしながら見つめている

二人の娘と息子が二人とも落ちるのはさすがにこたえる

当然の気持ちだ、妹も泣きながら兄を袖から見守る

妹は一人の審査員にも良いと言われなかった

兄は歌う前に一度妹に目を向けてから前を見たそれから

歌い始めた。


友達ができたんだね

僕より愛せるのかな?

暗い空が街を覆う

友達と一緒なんだね

割れた瓶を片手にただ君を待ってる

キスをする君を見た

ここにいる僕が見えない?

全て尽くしたでもここに君はいない

今日は一人で踊ろう

近くて遠い距離、灯りと音が消え

後ろ姿の君へさよなら

キスする君を見た

全て尽くしたでもここに君はいない

今日は一人で踊ろう

近くて遠い距離

灯りと音が消え後ろ姿の・・・


 歌い始めは静かに声を出し、けれど歌声は誰もが目を見張る

雰囲気を作り出しだんだんと感情に声に宿りみんなをうっとり

させたサビに入る前に更に心が込められた、歌声も力強くなって

観客の目は大きく開いて聴き入れている、審査員も真剣に見る

その歌声で妹は嬉し泣き、一番厳しい審査員は最初の表情と変わって

すっかりどれくらいのレベルかを考えている、手をあごに当てて

その表情は真剣で、もちろん今まで合格した人達の中でである

もうその時点で、一番厳しい審査員は合格範囲に入っている様だ

それほど、最初に期待して無かった自分を反省するほど

彼の歌声はレベルが高かった。


 妹はまるで、憧れてる歌手を目の前で見てるように、お兄ちゃんを

袖から見つめてる、その頃には、会場の観客も歓声と拍手が鳴り止まない

その歓声と拍手が妹の耳にも聴こえて安心したようだ、他の審査員全員

がもう目が認めてる、口に出さずとも表情で分かる、審査員全員が

一番厳しい審査員以外は笑顔だから、会場の母親も観客の反応で

感動している、目をウルウルさせていた、涙を流す観客もいた。


 歌声は綺麗で、その歌声には心が宿っていた、曲に合わせて

歌詞に感情を乗せて、始めに言った、ゆっくり歌いますの意味が

それだった、激しい歌ではないので、余計に声に集中して聴ける

歌い終わると観客の歓声がどっと沸いた、一番厳しい審査員も

拍手していた、それから全員が総立ちになった。


 兄は妹に顔を向けて、目で妹の今までと俺達の努力は認められたよ

と目で教えたその瞬間、一番厳しい審査員が何も言わずに

金色のボタンを迷わず押した、兄は両手で顔をふさ

まさか自分にという気持ちが伝わった、袖から妹が出て来て

兄にハグした、ありがとうとおめでとうの両方の気持ちが

見ていても分かる、ハグしている中、二人には金色の紙吹雪が

二人を包んだ、会場の母親も歓喜してる、誇らしく拍手をして

普段は金色のボタンを押した審査員がステージに上がって

おめでとうっていうのだが、兄は妹の肩に両手を置いて

行ってくるって言って、ステージから下りて一番厳しい審査員

の所に向かって、感謝を伝える、審査員も当然だと言った。


 私も妹の夢を叶えてあげたいとは最初は思ったが結果を見て

そうか、お兄ちゃんが妹の夢を叶えても、嬉しいと思う気持ちは

一緒にいたからこそ、妹の夢を兄が達成しても良いんだって思う

兄妹だから、妹の夢もそんなこだわりとかよりも

これでも良いんだって二人を見て思った、妹は歌手になりたい

気持ちはあったけど、それで叶わなくても

二人を見て残念じゃない

と分かった事はこれは私の中でのこだわりが、自分の考え方に

やり方と夢の形にこだわる必要はないと思いました。


『夢を見つける事は大切だけど、一人にこだわる事は無い

認めてる人が同じ夢を持っていても、蹴落とす必要は無く

こだわる必要も無い、また新しい夢を見つける事が出来るから』

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