人間失格 前半
私はこの人間を見て、恐怖というか
反応はない、ただただ生きることが根本的に私とはかけ離れていて
それでも理解したくて声をかけ続けた、だけど一度でも私には
振り返って見ることもしなかった、名前を与えた『サル』と
私の顔すら認識して無いのかも知れない
最後に見たのはもう手の届かない所に居て声も聞こえないくらい
離れた場所から見たのを最後になった・・・・・・
「耳を持たない生涯を送ってきました」
人間は信用できない、俺のことなんかどうでもいいに決まってる
だから俺は自分が生きれればそれでいい、叫ぼうが、わめこうが
俺の耳には届かない、聴こえてたのか最初はただの音として
その音は俺には理解出来ない、だから俺には耳がついているが
それは何かが近づいて来る時のためにのみ使うだけで
誰かと話すための機能は無かった。
親の顔も知らねえし、学問なんか生きるのに必要無かった
なんでこんな話をしなくちゃいけないのは最後に俺に自分を
書いてみろと言われたが、そもそも字なんか書けねえから
言葉を書いている奴がいるからだ、言葉を話せるのが不思議
だと思うか?
「へっへっへっへ」
俺はこれでも人間だぜ、お前らと同じな飯を食うにも
人間の飯が
方が簡単に食えるじゃねえか、だから俺は言葉ってものを
食いもんを奪うためだけに知ってただけだ。
逃げる俺に近づいて来るのは、腹を空かせた野犬くらいだ
俺を食ってやろうとな。
「今までで覚えてる人間がいるかだって?」
一人なら言える、俺の左腕を奪った奴だ、あの野郎俺に
腕を奪った事をずっと覚えて腹を立てて忘れた頃に
またバッタリ会っちまって俺は忘れてたから油断しちまった
俺の斧を奪ってそいつで俺の左腕を奪ったそん時に
俺の目を見て言ったんだよ。
「これで、俺とお前はおんなじになったな、お前の命より
この方が俺はスッキリだ、生きてみろ腕一本でな!」
それだけ言うと、そいつはどっかに消えちまってそん時
俺を見た目が忘れらんねえんだよ、そいつの顔だけは忘れらんねえ
この無くなった左腕を思い出す時に、それからは今まで通りに
行かねえ、腕一本はさすがにキツいぜ、そこに一人の坊主が俺に
近づいて来やがって、俺を縛ってついて来いって言いやがった。
俺は人間とはなれねえんだよって言っても縄をとりやがらねえ
飯だけは食わせる、俺は何も出来ねえから俺の斧で一本の木から
この野郎って削ってなんか気持ち悪い鬼がその木から出て来やがって
坊主がそれを見て言いやがった。
「もう、
俺にはふざけるなって思ったがこんなジジイの坊主に捕まる
くらいだ仕方なく、うなずくしか無かった。
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