赤い部屋

ツヨシ

第1話

子供の頃、家に赤い部屋があった。

床も壁も天井も真っ赤な部屋だ。

もちろん私の住んでいた家は普通の一軒家で、そんな奇妙な部屋は存在しない。

しかしずいぶん幼い頃の話だが、確かに見た記憶があったのだ。

そんな私も成人して、県外の会社に就職した。

住まいは小さなワンルーム。

田舎の家とは大違いだったが、生きていくうえで特に問題はなかった。

そしてある日のこと、仕事もここでの生活も慣れ始めた頃、部屋に帰ると壁に扉があった。

見た目は随分と古ぼけた木戸。

この狭い部屋に数か月住んでいるが、もちろんそんなものは今までに一度も見たことがなかった。

――なんだろう?

しばらく考えていたが、恐怖や警戒心よりも好奇心が勝った。

私は意をけっしてその扉を開けた。

真っ赤だった。

床も壁も天井も全て赤一色の部屋。

そして部屋の中央に赤いワンピースを着た少女がいて、笑いながら私を手招きしたのだ。


       終

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赤い部屋 ツヨシ @kunkunkonkon

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