第5話 アルフレッド・ロイヤの手紙

アルフレッド・ロイヤは館の書斎で手紙を書いていた。筆まめなアルフレッド・ロイヤは就寝前によくこうやって手紙を書く。


「あまり根を詰めるとよろしくありませんよ」

ようやく件の娘が帰り、平穏を取り戻した後の妻は優しかった。


「うむ」

アルフレッド・ロイヤは鷹揚に頷く。


「では、お先に失礼します」

妻は一礼すると先に寝室に行った。


王国騎士たるアルフレッド・ロイヤはこの館の主である。もちろんこの館には家族の他に10人の使用人が住んでおり、剣や盾の他に二領の鎧に馬2頭に馬車まであるが、生活が困るようなことは全くない。


が、それらはあくまで王国騎士として拝領したものなので維持費がかからないというだけの話で、個人的には帰りの一杯にも財布の中を確認する有様だった。


なのでアルフレッド・ロイヤは、その生来の微妙な幸運を活かすためにも、せっせと懸賞や富くじに応募するのであった。


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