第3話 アルフレッド・ロイヤの承認

「ということで、本当に申し訳ないのだが、了承してもらえるだろうか」

屯所の司令官室でアルフレッド・ロイヤは上官たる司令官に頭を下げられていた。


ロイヤ男爵家の眷属が金銭の使い込みをしたという疑惑だった。ロイヤ男爵家といえばアルフレッド・ロイヤの伯父が当主を務める大貴族である。嫌疑がかかっている男はアルフレッド・ロイヤの甥にあたる人物だという。


「厳粛なる捜査を望みます。閣下」

アルフレッド・ロイヤは謹直にそう返事をした。司令官の口から称賛と安堵のため息が出る。


「あなたのような強い方に憧れます。本当にありがとう。サー・ロイヤ」

司令官とはいえただの軍人である上司は、真の王国騎士、アルフレッド・ロイヤを深く尊敬していた。アルフレッド・ロイヤ自身が現場勤務を望まなければ彼こそがこの屯所の司令官にふさわしいだろう。


司令官室を退出したアルフレッド・ロイヤは記憶を手繰っていた。ショードル、はてそんな甥がいたっけな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る