第4話(和真) 何なんだこのオバサン
何故だろう、俺は母親と歳の差のないオバサンから目が離せないでいた。
今朝は、母さんと大喧嘩をした。
大学進学を目前に希望学部が決まらず、担任から何度も呼び出され三者面談をしていた。
この時期志望学部や大学が決まらない状態は、大学への進学の意義を見失っている事を指し示し。それは将来の目標が無いことを意味していた。
大学受験に向け準備を迫る母と、定まらぬ将来に迷走する息子との攻防戦だ。
怒れば何か結果が変わるのか?そんな訳はないのに、何を考えているのだろうか?あの母親は。
俺は疲弊していた。怒りを収める為に、あえて鈍行列車に乗車し ゆっくり登校していた。そんな時あるオバサンに目がとまった。他の乗客は、皆、スマホや時計を見たり、窓の外で駅を確認したり、何かしら自分の今の位置や状況などの情報を確認している。
あのオバサンは何故だろう。今読んでいる本以外の情報に全く興味を示さない。そもそも鈍行列車なのに、こんなに長い区間乗車している事も不自然だ。
皆、目的地を持って乗車しているのに、まるであのおばさんだけ目的地が無いようにさえ見える。
気が付けば、オバサンについて行っていた。
見れば見るほど、代わり映え無い普通のオバサンなのに、不思議なことに目が離せない。俺って、おば専?ナイナイ無い!
そんな事を思っていると、なんとオバサンに声を掛けられた。ヤバイ!バレた。
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