第5話 返信
食後お風呂も済ませて、自室に戻った僕はベットの上で無動作に投げ捨てられたスマホを手に取った。
画面を表示させると、そこには『返信があります』とあのアプリから通知が来ていた。それも2時間も前に。
まさか返信があるとも思わなかったし、今の今まで記憶の片隅にすら在籍していなかった。
残念なことにそのアプリ以外からの通知はなく、仕方なく僕は、アプリを開いた。
そこには、僕の最初のメッセージに対しての返信が来ていた。
内容は、こうだ。
メッセージありがとうございます。
私も始めたばかりなのでこういったものは得意ではないのですが、私はこのアプリで恋人を見つけたいと思ってます。
あなたのことを俊さんとお呼びしてもよろしいでしょうか?
実は私も徳島出身なんです。年齢も同じのようですし、仲良くなりたいです。
と書かれていた。
僕は、不思議に思った。
出会い系で恋人を求めていることをわざわざ書くこと。
書かなくとも大多数の人が目的はそこにあると思う。
当然僕も目的は一緒だった。
そしてなにより不思議なのは出身が同じこと。そんな偶然あり得るのだろうか。
徳島というのは田舎の上に人口も多くない。その中で全国の女の子中から同じ出身のネットで出会いというのは、凄まじく低い確率になるのではないだろうか。
そう、ありえない。これは嘘の可能性が非常に高い。
そうそう僕は人を簡単には信じない人間だ。
僕はこの時点でサクラの可能性を大きく感じた。
サクラのように文章も整っているし、今どきの若い子がこんな文章を書けるだろか。
いや書けない。書いているはずがない。おっさんだ。おっさんなんだ。
僕は独断と偏見交じりの考えから、相手は架空のおっさんだろうと勘繰った。
そして、返信を考える。
サクラだと思っているのにどうして返信するのか。
それは当然暇だからだ。暇つぶしの何者でもない。
恋人がほしいというのも、しょせん暇つぶし。
何事も人生というなの暇つぶしなのだ。
こうやって知らない相手とメッセでやり取りするのもゲームをするのも勉強をするのもすべて人生の中の暇つぶし。
僕の睡魔が来るまでの遊びに過ぎない。
僕はベットの上に横になる。それと同時にスマホを受電ケーブルを突き刺す。
寝落ちした時のことを考えて、充電しながらスマホをいじる。
さてなんて書こう。
ベットの上で、横になりながら返信文章を考え始める。
お風呂の後なのか分からないが、無駄に、頭がさえている。
こんなことに脳みそをフル回転させている無駄さには笑いが出る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。