第11話

ボストンの街並みは英国風の建物が多く綺麗に整っている。

まるでバッキンガムへ行くイースターのパレードのように人並みは春の陽気に踊っている。

僕はイースターの卵から新たな命を授かったように気恥ずかしくも感じている。一方で生かされているのが嬉しくも思う。

洋子とゆきは日本でどうしているのか?とふと思ったりなんかしている。

悲しい想いはもうたくさんだとも思う。


そして取り巻く世界は新たな秩序が生み出される予兆も感じている。それには僕は命を投げ出す必要があるかもしれない…それが洋子とゆきを守るためなら…と僕は思う。愛するもの守るべきものがある。幸せなことだ。


話を戻そう。

Dr.リーと僕はドルフィンバーに入った。


さあて、結論から言おう。昼に連邦警察の車に乗ったのは実はDr.スティーブではない。

あれは連邦警察の手先の人間だ。つまりは…


スティーブは今頃トキオに寄ってMr.龍と話している頃だ。そして君の手を借りることなくMr.龍の話次第では日本を潰すことになっている。これはベイジンつまりチャイナの共産党とすでに話ができている。


ペンタゴンーつまり合衆国政府はすでに方向性を変えている。日本を見捨てる方向性に流れている。

急な展開に君も踊らされたな。


一体どういうことですか?

Mr.龍に死んでもらうとDr.スティーブは僕に言いました。

しかし、その肝心のスティーブ博士がトキオに行ってMr.龍と話をしているとか?


スティーブハリスはペンタゴンにとってもう無用な人間なのだ。ペンタゴンは彼を切り捨てた。


それで僕はどうしたら良いんですか?

岡崎先生の紹介で僕はアメリカに研究に来た一介の研究員にすぎない僕は何もしようがない。僕は日本へ帰れるんですか?


いいやNOだ。君は一時ケンタッキー大学でも仮に行ってもらうとしよう。


何故今Kentuckyなんです?


それはマンモスケイブ、つまりムーの入り口の謎と空間の移動の解明なのだよ。ムーの文明に力を借りないと世界は滅ぶからな。


きっと君の力が必要となった時に連絡が来るだろう。


僕は与えられた機会に前向きに取り組む気持ちが芽生えている。


人生に疲れ切っていたボロボロの頃の僕とは今は違うような気がしているのだ。


さてと、話は終わりだ。君には重大な使命がある。明日にはKentuckyに行ってもらうとしよう。


では、幸運を祈る。


Dr.リーは会計を済ませると、Bostonの街の中に消えて行った。

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