第4話
アートの世界。フランスの切手のデザインを手がけたのがピエトロラジール。彼の妻がエルザラジールつまりパリからアメリカに来た僕の友人であり、まあ、ガールフレンドということになる。
彼女とはニューヨーク州のあるキャンパスで一夏を過ごした。
ピエトロとは結婚している割には僕にくっついて離れない娘だった。
「空間が広がったり、縮んだり。その意味わかるかしら?」と彼女は笑い、僕の目を覗き込んではウィンクしてキスをした。
彼女はナイアガラのアメリカサイドの芝生の上に2人で寝転んでそんな話をした。
日本人て座禅ってするの?と聞いて来た時、僕は鎌倉の寺で習った坐禅のポーズをとった。
彼女はナイアガラの観光客なんてそっちのけで僕と座禅のポーズをとった。
「禅マスターは、ちょっとでも呼吸が乱れると後ろからハグするんだ!」と言って彼女の背中からハグしてはうなじにキスした。
空間の伸び縮みなんてのは僕は退屈だった。応用されたタイムマシンなんてのはいわばドラえもんの世界でしかなかった。実際彼女が真剣に話すことがフランスで実験されてることなんてどうでもよかった。だから相手にせず、草の匂いを嗅ぎ、チラチラ降り注ぐ太陽の陽だまりを楽しんでいた。
空間の伸び縮みなんかより女の子の体のことしか興味を示さないから、彼女はいつもダンスパーティーで嫉妬に狂った。僕がイタリア娘の尻に手を当てながらステップを踏むとイタリア娘を突き飛ばしては自分がラストダンスは僕と踊るのが常だった。
ラストダンスは私との歌詞なんて知らないそのパリっ娘は陽気にダンスをリードした。淑女のかけらもない。
そのくせレストランでは入り口に立ち、僕がドアを開けるのを待つ。椅子に座る前に僕が彼女の椅子を引いて座らせるまで頑として動かなかった。パリの淑女とは所詮そんなものだ。何しろ結婚してようがしてまいが、自由に恋愛に率直なのは良いのか?悪いのか?
そして一夏は終わり、ニューヨークシティーにエルザは旅立ち、僕はボストン近郊のケンブリッジにあるハーバード大学にむかった。
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