寝言

 寝言に話しかけると良くない。そんな都市伝説がある。

 信じているわけではないが、何か脳にエラーが起きても怖いので、寝言を言っている人がいても話しかけないようにしている。


 友人Aはなかなか寝言が特徴的で、かなりハッキリ喋ってくる。

 都市伝説が怖いので、Aと旅行に行くときはなるべく気にしないようにしているが、今回の旅行では様子が違った。

 メンバーがいつもより一人多かったのだ。追加メンバーのEは、案の定夜中にAの寝言で目を覚ましていた。

 厳密には、A以外の全員が一旦起きていた。

「A、大丈夫なの?」

 Eが心配して一堂に目をやるが、みんな笑って頷いた。

「いつものことだから」

「そう、ならいいんだけど」

 Eは納得しきれないような顔をしていた。

「何か気になるの?」

 私が聞くと、EはAの頭の先を指さした。



「Aの寝言、ずっとここから聞こえるの」


 

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