解脱

 友人のCが死んだ。彼女は大学のゼミで一緒に宗教学を専攻していた子だ。若かったが、原因は不明。ただ、自殺ではない。起きてこないところを寮生が見に行ったら、静かに布団の中で息を引き取っていたという。

 ただ不可解なことに、彼女の部屋から遺書から見つかったらしい。

 そのためある日、Cの家に大学同期で訪問することとなり、遺書を見せてもらった。内容はこの通りであった。



−−これで終わり。嬉しい。



 いじめにでもあっていたのかと彼女の両親に聞かれたが、その気配は一切なかった。むしろ、彼女は人気者であったし、バイトやサークルなど公私共にトラブルの話はなかった。

 いわゆる、完璧な人間であった。大人びたところもあり、人生何周目なのだろうという賢さを見せたこともある。


 私は、そんな彼女の人生を振り返って、個人的には不本意ではあるが、彼女の自由を心の底から祝うことにした。

 彼女はきっと、この輪廻から解放されたかったのだ。


 


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