第2話 ゲーム制作

高井圭介。28歳。アラサー男子。仕事は工場勤務。安月給。

自由に使える毎月の小遣いは2万円。ちなみに週休二日制である。

金なし、友なし、女なし。でも時間だけは、そこそこある。

そんな俺は、今日もソロ活ライフをエンジョイするのだった。


子供の頃からよくテレビゲームをして過ごした。当時は、ドラクエなどのロールプレイングゲームが流行っていて、よく友達と攻略情報を交換し合いながらゲームクリアを目指して遊んでいたものだ。ゲームをプレイするのは、いくつになっても面白い。そんなゲーム好きの俺だが、今日やるのは、ゲームをプレイする事ではない。


「そうだ、ゲームを作ってみよう」


ふと思い立った。今までゲームをプレイする事はあっても自分で作ろうと考えた事はなかった。何か新しい事を始めてみるのも悪くないかもしれない。


ゲームを作る。

ゲームを作るには、一体何が必要なのか。ネットを使って調べてみる。分かっていた事だが、やはりゲームを作る為には、プログラミングを覚える必要がある。Javaだの色々な言語があるみたいだが、何から手をつけたらいいのか分からない。調べてみて分かったのは、かなり困難な道であるという事だ。もっと手軽にゲームを作る事はできないか……。俺は更にネットを使って調べた。


「おっ……?これは……」


プログラミングが分からなくてもゲーム作りができるというソフトだった。このソフトを使えばサウンドノベルゲームを手軽に作る事ができると書いてあった。しかも無料のソフトだった。


「サウンドノベルゲーム……か。うん、いいかもしれない」


サウンドノベルゲームとは、画面に背景映像と音楽や効果音と一緒に表示された文章を読み進めて進行していくゲームの事である。中には選択肢を選ぶ場面があり、その選択肢によって物語が変化したりするものもある。まるで小説を読んでいるような形のゲームである。

 俺はサウンドノベルゲームを作る事に決めた。早速、フリーソフトをダウンロードして使い方を読んでいく。


「なるほど。フリー素材集の中から背景画像や音楽、効果音を選んで、そこに表示させる文章を指定する……か。つまり作曲や絵を描けなくても文章さえあればサウンドノベルゲームは作れるのか。これはいいな」


ならばまずやる事は、物語を考えなければならないな。


「舞台設定はどうしようか……。学園物とかいいかもしれないな。ジャンルはホラーだ。学校には奇妙な噂があって、主人公の男子高校生は興味本位でその噂を調べていって怪異に巻き込まれる……とか?」


うん、悪くないぞ。悪くない設定だ。なんだかワクワクしてきたぞ。

物語を考えるのって楽しいな。

俺は週休二日の二日間を丸々使い、物語を考え続けた。

そして夜になった。


「できた!!……えっ!?もうこんな時間じゃないか!!今週は物語を考えるだけで終わってしまったな。来週からは、早速ゲーム作りを始めよう」


そして次の週の休み。

今日から実際にゲームを作る作業に入る。シナリオは先週、二日間かけて作った。

我ながら初めてにしては頑張ったと思う。


「えーと……フリー素材の中から背景画像を選択してっと……。それからBGMを入れて……ここにテキストを表示させて……」


プログラミングの知識なしでゲーム作りをサポートしてくれるソフトというだけあって、とても分かりやすい説明文がついていたので理解しやすかった。何の専門知識のない俺でも簡単に動かせる事ができた。


「おお!!できたできた!!凄い!!俺の作った物語がゲームになって動いている!!」


これは感動の瞬間だった。

俺はまた2日間かけてゲームを作っていった。

そして夜、ついに完成した。


「できた!!製作期間4日。俺が初めて作ったサウンドノベルゲーム!!」


クオリティーは大したことがないと思う。

小説のような物語だって初めて作ったし、初めてのゲーム制作だ。

市販のゲームのような出来栄えではないけど、自分で作った物語の世界がゲームという枠組みで動いている事に、ただただ感動する。


完全に自己満足の世界だけど、それでいい。

そうだ。これからどんどんゲーム制作の腕を磨いていって、いつか多くの人にプレイしてもらえるゲームを作ろう。

無料ソフトだし、家から一歩も出ずに金をかけずに暇を潰せる。

これは良い趣味なんじゃないだろうか。

俺はゲーム制作にハマッてきた。


さて……

次はどんなゲームを作ってみようか!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る