鉱山の生活(ダレン)③
俺たちの裁判は終わった。すべての罪において有罪とされ、鉱山での労働を言い渡された。
その期間は俺たちが結婚式で使った費用、侯爵家の名前で買った物の費用、全ての慰謝料を払い終えるまで。
その費用は領地をすべて売り払っても返済できないほどだった。
鉱山で働いても返せるわけなんてない。それは事実上死ぬまで働けというのと変わらない…
なんで!!なんでこんなことになるんだ!!!!
だれか俺の話を聞いてくれ!!
それからすぐに鉱山に連れていかれた。
そこで使う部屋は思っていたよりも綺麗で広かった。
こんな広い部屋を俺に用意するなんて、なかなか分かっているじゃないかと感心していたらこの部屋で6人で過ごせと言われた。
こんな狭い部屋で6人なんて、なんて奴らだ!
部屋を取り替えろと騒いでも変えてもらえない。
せめて一人部屋にといっても、聞いてもらえなかった。
6人で寝たりしたらぎゅうぎゅうなのに、ミカリーナは自分は妊婦だからゆっくりさせろと一つしかないベッドに寝た。
ありえないだろ!
高齢の父や母だっているのになんてわがままな奴だ!
そうだ、こいつと会ってから俺の人生の歯車が狂ったんだ!
でもミカリーナが妊婦なのは事実だ。あと1か月もしたら生まれるかもしれないと言われている。
そうして、ミカリーナがベッド。俺たちは床が定位置になってしまった。
次の日からは朝早くから銅鑼の大きな音で起こされ、朝食は野菜とスープとパン、半切れのムニエルを食べさせられた。食べ終わったらすぐに鉱山の中に連れていかれた。
慣れるまではと他の労働者とは別の場所で6人で作業させられた。
ひたすら掘削作業。
女性だからと特別扱いはしないらしく、母もミカリーナの母キャロルも同じ作業をしている。ミカリーナは隙を見てはお腹がいたーいと言っているが、その都度医学の知識があるものが体調を確認し、問題ないとのことで比較的軽い作業にまた戻されている。
当たり前だが窓もないから空気が抜けず、暑い。掘る場所によってはガスが出るらしく、俺たちはマスクをつけて作業をしている。
今日の朝はそれほどの暑さを感じなかったのに、これからもっと暑くなったらこの環境に耐えられるのだろうか。
それから数日6人だけで作業したら、今度は身体の大きな強そうな労働者のところに連れていかれ、一緒に作業することになった。
がははと大きな声で笑ううるさい奴だ。
最初6人だけでの作業だったのは俺たちが他の労働者とうまくやれるか、様子見をしているんだという。平民と同じ作業なんてと思っていたが、毎日毎日ヘロヘロになるまで働くとそんなことを思っていられなくなってくる。朝早くから必死に作業し、夕方は割と早い時間に帰れるが、風呂に入り、ご飯を食べると眠気に耐えられず、全員そのまま朝まで起きることはない。
少しずつ作業に慣れてくると、他の労働者でがやがやしている場所に移動させられ、そこでの掘削作業になった。全員が当たり前に作業し、気軽に話しかけてくる。
そんなこと俺の当たり前にはなく、正直イライラしかしなかったが、黙って作業していると掘削のコツなどを教えてくれる。教わったことをやってみるとほんとに驚くほど作業がしやすくなった。
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