第98話 果たし状

「果たし状が届いたんだけど」

「達者でな、春斗」

「勝手に殺さないで」


 下駄箱に僕宛の果たし状が届けられた日。

 僕は犬塚くんにこの果たし状について知ることないか聞いてみることにした。


「文面見せてみろ…………別に決闘するような雰囲気じゃない気がするぞ」

「そうかな?」


 確かに果たし状なんて出されるいわれはない。

 でもなぁ……


「誰がこんなイタズラをするのさ、なんのために」

「そりゃもちろん春斗と会って話したいことがある奴だろ。告白とかな?」

「告白か……」


 告白と言われ真っ先に思い浮かんだ沖矢さんを掻き消す。

 というか、僕に告白してくるような人がいるとは考えられない。だって僕だよ?

 天下一品の平々凡々、遠山春斗だよ?


「まあとりあえず行ってみればいいんじゃね?」

「……確かに行かないというわけにはいけないけどさぁ……」

「あんま乗り気じゃないのか?」

「そういうわけじゃないけど、普通に怖い」


 ぶっちゃけまだ僕は、ワンチャン殺されるのでは?という可能性を捨てきれていない。

 すると犬塚くんは窓の方に向けていた視線を僕の方へと戻し、


「大丈夫だ、お前ならいける」

「だから何を?!」


 その答えは教えてくれなかった。

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