第97話 五十回
「英梨々……私帰ってい?」
「ダメに決まってるでしょ。なんなら必要不可欠なんだから」
英梨々がまるで果たし状かのような文面で書いた手紙を遠山くんの下駄箱に放り込み、それを遠山くんが回収したのを確認した私と英梨々。そしてあっという間に時は過ぎて放課後。
だが今私は、未だかつて無いほどの腹痛に襲われていた。
「私いなくてもなんとかなる」
「わけがないでしょうが」
今の私を襲うのは、不安?それとも恐怖?
いやわかんない!だって色んな感情がごっちゃごちゃに入り混じって、私が本当はどう思っているかなんて分かりようがない!
「やっぱり今じゃないと思うの英梨々」
「また言うのそれ」
またって、まだ四十九回しか言ってないじゃない。
記念すべき五十回目よこれ。
「告白は、確かにいつかはしないといけないわ。でもそれは今なの?もっと関係を深めてからでも遅くはないと思うのだけれど?」
「ようは自信が無いからやめたい、と」
コクコク。
「あほんだら!今更気張らないでどうするんじゃい!さっさと決着着けてこんかい!」
グイグイと私の背を押す英梨々。
というかその口調は一体……。
「ちょ、英梨々そんな押さないで!……わかったわよ!行けばいいんでしょ行けば!告白してくるわよ!」
私の恋愛はついにクライマックスに突入する。
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