第96話 ラブレター
下駄箱を開けたらラブレターが入ってました。
僕は数秒の硬直の末、一つの結論を導き出した。
あ、誰か間違えて入れちゃったのかー。
もうしょうがないなぁ、僕から本人の下駄箱に入れてきてあげるよ。
あ、でも宛先書いてないな……。差出人も不明だし……。
僕は下駄箱から封をされた手紙を取りだし何かしらのヒントを探すも、何も見当たらない。
「どうしたもんかな……」
開けてもいいだろうか?綺麗に開ければバレないよね?
そもそも差出人が僕の下駄箱に入れたのが悪いわけだし?
でも、万が一にも僕宛てだったらどうしよう……。ダメだよ!僕には沖矢さんという心に決めた人がいるんだ!
犬塚くんから言われた「沖矢、お前のこと好きだぞ」という言葉。確かに思い当たる節はある。だけど思えば思うほど、ただの優しさの延長線上な気がしてならないのだ。
第一沖矢さんが僕のことを好きになる理由なんてどこにも……。
「……っと、そんなことより」
今は目先の差出人不明、宛先不明のラブレターの正体を解明しないといけない。
僕はシールで綴じられた所を綺麗に剥がし封を切る。
中から出てきたのは……
『遠山へ。誰にも言わずに今日の放課後、屋上へ来い。』
「ひぃぃぃぃ!!!」
怖い怖い怖い!
いやでも行かないわけにはいかないよね!でも怖い!なんでこんな乱暴な言葉なの?!
これラブレターじゃなくて殺害予告だったの?!
その日の放課後まで、僕は重い気持ちで過ごした。
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