第87話 真意

「相談があります姉さん」

「どうした弟よ!!!」


 体育倉庫に閉じ込められた日の夜、僕は姉の部屋を訪ねた。

 というのも、今日起きた出来事を客観的に判断し、沖矢さんの真意を探るのだ。

 自分でやれ?既に僕が考えられる容量は越してしまった。

 不本意だが姉に頼らざるを得ない。


「それで、相談っていうのは……」

「言わなくていい。全て把握してるから」

「なんで?!」

「私の情報網を侮るなかれ。沖矢ちゃんをマットに押し倒したあげくキス待ち顔までされたのにビビって帰ってきたんだろ」


 すごい全部合ってる。

 いやいやいや、なんで全部知ってるの?!常日頃から「私はなんでも知ってる」と豪語しているが……。


「なら日本で二十四番目に大きい都道府県は?」

「茨城県。面積は6,095.72 km2」


 もはやなんで知ってるのの領域。

 おっと、話題が逸れてしまった。


「それで春斗が知りたいのは?」

「沖矢さ」

「沖矢ちゃんの真意、と」


 だからなんで知ってるの!!!

 もう怖いよ!部屋に隠しカメラでもあるんじゃないかと疑ってしまう。

 というか、何気に姉の沖矢さんの呼び方がさんからちゃんになっている。


「それはね、春斗」

「うん」


 ゴクリ、と僕は唾を飲む。


「沖矢ちゃん春斗のこと好きだよ」


 ………………は?

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