第80話 パンツ
遠山くんが風呂場に入った音を聞いてから、私は脱衣場に入って洗濯籠に入ってる服を洗濯機に投げ入れる。
「こ、これは……」
私は一枚の布の裾を両手で摘む。
アウトゴムにロゴが記された黒のブリーフ。
これはついさっきまで遠山くんが穿いていたパンツ。
「……ハッ!」
私は一体何を?!
この仕切りを開けた向こうには裸の遠山くんがいるというのに何を?!
落ち着きなさい沖矢千聖。パンツがなんだって言うの。付き合っちゃえば毎日遠山くんからパンツを貰えるのよ?今危険を冒してまでそんなことをする必要は無いわ。
「……」
それでも少し気にはなる。
バレないわよね?洗っちゃうんだし。今はシャワーを浴びてるわけだし。
この家には誰もいない。私を止める人は誰も……
「……ハッ!」
だから一体私は何を?!
いい加減パンツを洗濯機に投げ入れなさい沖矢千聖!いつまでも摘んでいるからこういう邪念が出てきてしまうのよ!
私は思い切ってパンツを洗濯機に放り込んだ。
私が襲ってしまいそうだ……。
洗濯機の蓋に額を擦りつけながら、私はそう思うのだった。
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