第79話 お風呂
これはいけない。実にいけない。
好きな女の子の家で服を脱ぐ。これは果たして倫理的にどうなのだろうか。ギリギリアウトな気がしてならない。
とはいえ、ここで沖矢さんの優しさを無下に扱うのも失礼というもの。ここはお言葉に甘えさせてもらうべきだろう。服もびしょ濡れだし。
「……」
僕は服を脱ぎ洗濯籠に入れる。
好きな女の子家で自分の服を洗濯してもらうなんて、まるでラブコメの主人公じゃないか。
すると、僕はふと洗濯籠の傍に落ちていたある物に気が付く。
「……白」
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!!
僕は一体なんてことを?!沖矢さんがこのドアのすぐそばにいるのかもしれないのになんてことを?!
ブラジャーが白だったらなんだって言うんだ。夏休みの水着と同じ色だって?だからなんだって言うんだ!
僕の名は遠山春斗。
好きな人のブラジャーが落ちていても動揺したりなどしない男。
ここは何も見なかったということにしてシャワーを浴びさせて頂こう。
僕はそう決意しながらお風呂場に入る。
ごくごく普通のお風呂で、シャンプーやリンスなどが置かれた台がある。
これがいつも沖矢さんが使ってるシャンプー……。
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!!
僕は一体なんてことを?!沖矢さんがシャワーの使い方がわかるか確認してくるかもしれない状況でなんてことを?!
沖矢さんがいつも使ってるシャンプーだからなんだって言うんだ。いつもいい匂いだって?だからなんだって言うんだ!
僕の名は遠山春斗。
好きな人が使ってるだろうシャンプーを目の当たりにした程度では動揺したりなどしない男。
そんなことは気にせず使わせて頂こう。
こうして僕は悶々としながら自らを洗うのであった。
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