第43話 結果発表
7月。期末テストの答案返却日。
「っ!」
私が先生から渡された総合成績表の順位は三位。確か遠山くんは前回五位。自己最高記録でありかつ、遠山くんの前回の記録から二位も上げている。
これは勝ったかもしれない!
すると、どうやら遠山くんも成績表を返されたようだ。
「と、遠山くん。どうだった?」
「え、あ、うん……」
ふふふ、同様しているようね。この反応はきっと結果がふるわなかったのだろう。
ここで私が勝てば、と、遠山くんに……お願いを何でもできる……!
公序良俗に反しない範囲という制約付きだが構わない。
「遠山くん。勝負、覚えてる?」
「……覚えてる」
「せーの、で見せるよ!せーのっ!」
パッと私と遠山くんは同時に成績表のプリントを表に返した。
私の総合順位は三位。遠山くんのは……
「……三位……?」
「引き分け、かな」
え、待って、その場合勝負はどうなるの?!
せっかく……せっかく……!
すると遠山くんが救いの一手を差し伸べてくれた。
「どうする沖矢さん。お互いに一個ずつ言うことを聞くことにする?」
「ええ、そうしましょう!」
こういうことを言ってくれるから好きなのよね。当事者が全員得するような手を出してくれるところが。
「私のお願いからいいですか?」
「え、うん」
このお願いはずっと前から決めていたこと。
英梨々にも相談して、犬塚くんにも少しだけ協力してもらって。
「私と一緒に川に遊びに行きませんか?」
「川?」
きょとんとする遠山くん。私だって悪女じゃないのだから、金銭を要求するようなことはしないわ。
「夏休み、私と一緒に川に行きましょう。これが私のお願いです」
「……うん、わかった。じゃあ僕からも一つ、お願い言わせてもらうね」
「はい」
遠山くんはどんなお願いをしてくるのだろうか?
さすがに下着を要求したりはしないだろうが、いくら遠山くんとはいえ、一介の男子高校生。それなりに性欲もあるだろう。
下着の色くらいなら……。
「僕のお願いは────」
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