第35話 心理テスト①

 もうすぐ期末テストまで二週間に入るある日。

 犬塚くんは、僕、沖矢さん、柏木さんを放課後の教室に集め、神妙な面持ち言った。


「今日集まってもらったのは他でもない!」


 そう言われ、僕達三人はゴクリと唾を飲む。


「今から心理テストをします!」

「「「は???」」」


 犬塚くんの吐いた言葉に理解が追いつかない僕達三人。

 なぜ心理テスト……?


「では第一問!」


 犬塚くんは僕達の疑問を他所に、問題を出した。


「バニラアイスにトッピングするなら次のうちどれ?Aイチゴジャム、B抹茶シロップ、Cナッツ&ドライフルーツ、Dチョコレートシロップ」


 どういう意図の問題なんだろう。

 これは心理テストだから、定められた答えがあるわけじゃない。ようは己の深層心理への問い掛けなのだ。

 となれば、ここは素直に答えるべきかな。


「僕は……Dのチョコレートシロップかな」

「ほーう、二人は?」

「そうね……私はCのナッツ&ドライフルーツかしら」

「私はBの抹茶シロップだな」


 犬塚くんは全員の答えを聞くと、「ではそこからわかるのは……」と言った。


「恋人に求めるものがわかる!まず柏木、お前は、恋人に『安定』を求めている。甘い言葉だけでは満足できず、相手のルックスやステイタスを重視する女だ。典型的な良い男好きだな」

「悪かったな!」

「そして沖矢は、恋人に『知性』を求めている。一緒にいて退屈な人には興味ナシ。楽しく会話が弾むこと、また、センスがよくてフットワークが軽いことを大事にするらしい」

「まあ、否定はできないですけど……」


 そっか、沖矢さんはそういう人がタイプなのかー!

 待って、僕は学年トップクラスの成績、『知性』はクリアしている。

 だけどなぁ……楽しく会話が弾ませられないし、センスがいいのかどうかもわからない。

 び、微妙……!


「それで最後、春斗は恋人に『優しさ』を求めている。春斗がつらいときにはなぐさめ、励ましてくれるような恋人が理想的。さらに、記念日に花束をプレゼントしてくれるようなロマンティックな相手なら最高だってさ」


 まさしく沖矢さんのことじゃないか!

 優しくて、ロマンティックな人……。沖矢さんじゃん!

 どうしよどうしよ!勘づかれてないよね?!大丈夫だよね?!

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