第30話 焦らし

 あーもー!恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!!

 私ったら変な期待ばっかり!しかも勘違いだし!


「どうしよう……英梨々」

「何が」


 逃げるように部屋に帰った私は、部屋の中で備え付けのテレビを見ていた英梨々を見つけると話しかけた。


「あ、告白どうだった?」

「……告白じゃなかった」

「は?」


 一瞬、英梨々の顔が極悪人みたいな様相になった気がするけど……気の所為よね。


「昨日自由行動の時に看病してくれてありがとう、だってさ……」

「よし、今からあいつをシメに行くぞ」

「え、え、ちょちょっと!」


 腕をぐわんぐわん回しながら部屋を出て行こうとする英梨々をどうにか止める。


「千聖はそれでいいの?!」

「う、うーん……確かにちょっと消化不良だけど……」

「よしシメよう」


 だからなんですぐにシメようとするの!


「でもね……」

「でも?」

「こうやって焦らされてるのも悪くないなって思う自分がいるの」

「ソウデスカ」


 英梨々は呆れたようにベッドに身を投げた。

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