第28話 期待

 これはきた!間違いなくきた!

 修学旅行の三日目の夕食後。

 ここまで時間設定をされてしまえば、流石の私でも察しはつく。


 告白だ。


 いや、確かにその情報だけならば私はただの自意識過剰の自信過剰女子だが、昨日の自由行動の時間に二人きりの時を過ごしたことを忘れていないだろうか?

 あれのおかげで、恐らく遠山くんの中での私に対する好感度はうなぎ登り。もちろんそれを狙っていたわけではないけれど、あわよくば的な感じに思ってはいた。


「あんまり期待しすぎて引かれないようにね」

「遠山くんはもう私に惹かれてるから」

「はいはい」


 自由行動が終わり、夕食前の部屋待機の時間。

 私は英梨々にそう忠告されるが、私のラブコメ脳をとどまるところを知らない。


「いや〜色々準備しないとだよね!」

「ん?準備?何のさ」

「え、結婚だけど?」

「頭は正常か?」


 全く、英梨々はそこそこ恋愛経験あるのに疎いんだから〜


「付き合う。それはもう結婚と言っても過言ではない!」

「過言だろ」


 やっぱり英梨々の知識は偏っているのかしら。

 でも大丈夫!


「私と遠山くんの結婚式には呼ぶからね!」

「だから過言だろ。てか呼ばれなかったら泣くわ」


 こうして、私は期待を胸に、夕食が終わるのを待ちわびるのだった。

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