第23話 行ってみよう!

 うぅ……情けない。なんて情けないんだ僕は、たった一晩夜更かしするだけでこんな体たらく。

 しかもよりによって沖矢さんを待たせてしまうことになるなんて……。

 さすがに申し訳なさすぎる……。


「沖矢さん……先行ってていいよ?」

「い、いえ大丈夫です。それに二人はもう先に行っちゃいましたよ」

「……ごめん」

「謝らないでください。……でも、進まない訳にはいかないですから、遠山くんのペースでゆっくり行きましょう。歩けますか?」

「う、うん……」


 沖矢さんは女神かな?……なんてね。

 きっと沖矢さんは僕じゃなくても、誰にでもこんな風に優しくするのだろう。……こんな情けなくて弱い僕でも。


「「……」」


 繁華街を歩く僕達。沖矢さんは仕切りに誰かとスマホで連絡している。

 すると「三十分か……」と言い、スマホを制服のポケットにしまい込んだ。


「遠山くん、二人でこの辺りをぶらぶらしませんか?」

「へっ?」


 手を腰の後ろで組み、優しげな笑みを浮かべて沖矢さんは言った。

 いやいやダメでしょ。


「……いやでも犬塚くん達が……?」

「連絡しておきました!少しは景色とか観光とかを楽しんだ方が気分もよくなりますよ!」

「う、うーん……?」


 沖矢さんの突拍子もない発言に少し困惑する僕だが、沖矢さんはそんなことを知らずに、僕を引っ張っていく。

 そして明るい声で言った。


「行ってみよう!」

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