第6話 メッセージ

 遠山くん、大丈夫かな?

 家に着き夕飯を食べた後、自室の勉強机に座りながらあてもなくスマホを操作していた私は不意にそう思った。

 そうだ、LINEで聞けばいいんだ。

 私は「これは名案!」と思いスマホのLINEを立ち上げる。しかし、


「あ……」


 私は遠山くんのアカウントを追加はしているが、今まで一度もトークをしたことがないということに気が付いた。

 こういう時、日頃からやりとりしていれば気軽に容態を聞くことが出来るのに……と私は過去の私を悔いる。

 もしここで私が遠山くんに『大丈夫?』って送ったら、私の気持ちがバレて距離を置かれてしまうかもしれない。


「……はぁ」


 私は小さくため息をつきながらスマホを机に伏せた。

 別に聞かなくたって関係が悪化するわけじゃない。だったらあえてそんな危険を犯す必要はないじゃない。

 明日学校で会った時に何気なく聞けばいいのだ。

 ……いや、私は怖いだけなんだ。バレて距離を置かれるのが怖いのだ。


 言い訳するのはもう、やめよう!


 私はスマホを手に取りロックを解除する。そして立ち上げたままだった遠山くんとのトーク画面のキーボードを指で操作する。そして誤字確認もしないまま送信した。


『足、大丈夫だった?』


 心臓がバクバクと激しく鼓動している。

 しばらく画面とにらめっこしていると、ジュポッと遠山くんからの返信が来た。


『大丈夫だよ、心配してくれてありがとう』

「〜〜〜っ!」


 返信どうしよう!こんなにすぐ返ってくると思ってなかったし、即既読を付けてしまった!変に時間を空けるのはよくない。

 でもなんて送ればいいんだろ……。

 結局私は『Good!』というよく分からないスタンプを送ってスマホを閉じた。


 明日、早く来ないかな。


 なんて思いながら。

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