第5話 再会した、かつての親友⑤
そうこうしているうちに初日の授業が終わった。
教室は瞬く間に
「なぁ霧島、これから皆でカラオケに行くんだけど、一緒にどうだ?」
「そうそう、歓迎会も兼ねるし
「転校生がどんなの
「いや、俺はその──」
隼人は調子の良い、そして好奇心の強いグループに囲まれた。その中には先ほど質問攻めにしてきた顔もいくつか見える。彼らとしてはごく自然な誘いなのだろう。しかし田舎で同世代との交流が無かった隼人は、どうすれば良いのかわからず
(それに、カラオケ自体行ったことないし……)
あやふやな態度でまごついていると、強引に肩に手を回され連れて行かれそうになった。
「てわけで、行くべー」
「ちょ、おいっ」
「ダメッ!」
しかし、それに待ったと鋭い声が掛かる。
「え?」
「うん?」
「二階堂、さん……?」
「…………ぁ」
彼らにしても意外な相手だったのか、彼女──二階堂春希に注目してしまう。
そして春希本人も予想外な声だったのか、驚く顔も一瞬、コホンと
「……えっと、その、こほん。ダメですよ、放課後色々案内してって頼まれているんです。ね、霧島くん?」
「そっかぁ、それじゃあ仕方ねぇな。二階堂さんが相手してくれるなんて
「え、いや、二階堂さん……っ!?」
言うや否や羨ましそうにする男子たちの視線を背に、春希はいきなり隼人の
そして、そんな調子で校舎を案内するわけでもなく、昇降口に直行して校外へと連れ出された。
「おい、一体どこへ連れて行く気だ?」
「いいから、いいから!」
学校を飛び出した隼人は、春希に引っ張られる形で住宅街を小走りに進む。
傍から見れば美少女に無理矢理連行されている図である。
さすがに情けないやら恥ずかしいやらで、隼人の顔も熱を持つ。
だが春希はそんなの知ったことかとばかりに前を駆ける。
しかし、かつての子供時代を
(ははっ! ……まったく、変わらない、な!)
それは隼人にとって、土手やあぜ道の代わりにアスファルトを
「どこに向かってるかは知らねぇけどさ、
「むっ!?」
隼人はあの時と同じように、早足を競って春希を追い抜こうとする。
するとあの時と同じように、春希も負けじと足を速める。
隼人が前へ、春希が前へ、抜いて抜かれて全力疾走。2人の顔には不敵な笑み。互いの手は
「あはっ!」
「ははっ!」
意味がわからなかった。
だけど一緒に走る、ただそれだけで楽しくなった。
かつての出来事と感情を思い起こされ、理屈を飛び越えて目の前の女の子がはるきなのだと、はっきりと認識させられる。
昔と姿形は変わってしまっているかもしれない。だけど、確かに変わらないものがある──それがなんだか無性に
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