殴れ!なんか丁度いいざまぁにふさわしい悪人!

「なんか足りないよね、暴力が」

「殴ってやろうか?」

「ノーセンキュー」

 毎度のごとく、ノミオスの酒場は冒険者の賑やかな喧騒で満ちている。

 その中央付近のテーブルで、盗賊シフ、戦士リキ、魔道士ツン、暗黒冥炎獣デスヘルケルベロスのポチは酒を飲み交わしていた。


「日常ものとは言え、冒険者といえば暴力、そしてムカつく奴に一泡吹かせるざまぁ要素だよね。やっぱりここでそういう成分を補充しておくべきなんじゃないかなって」

「アンタがパーティーに復帰すれば、暴力は解決するわよ」

「グルル……我の餌を減らす愚者共を懲らしめてやるが良い……!!」

「いやいやいや、わかってないなぁ!!」

 シフは大きくため息を吐き、両手を振り回して訴える。


「いいかな?アタシの戦闘面での活躍だなんて地味なもんだよ!絵的な面白さは虚無だね!」

「自分で言ってて虚しくならないのか」

「私はそういうのが大事だなんて思ってないんだからね」

「そしてポチが餌を減らされるのは自業自得!」

「グルル……!!」

「やっぱ、ここは派手な暴力でムカつく悪役をバチコーンととっちめてやらないとね!例えば理不尽な理由で主人公を苛むクソ野郎とか!」

「なるほどなぁ」

 シフはバチコーンと派手に殴られた。

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