我は手に血を滲ませる

行くあてはない


道もない


開拓する為の道具も


持ち合わせてない


それでも膝をつく


草を抜き


土を手で掘り


血が滲むまで繰り返す



掘りあてた


木の欠片が


道具になる


降り始めた雨が


草を抜けやすくする



濡れた体で続けてると


むしろを背にかけてくれる人がいた


仲間ができた


二人で土を掘り続ける


見かねた


少しばかり裕福なのが


スコップとおにぎりを用意して


我に聞く


何故掘ると



行くあてが無い


ここで畑を作り生きる


荒れ野を見渡して


溜め息をついて消えたが


毎日おにぎりの差し入れがくるようになった



行くあては無かった


誰の土地でも無い


この荒れた野原を


自分の生き場所に決めた



腰を据えれば


そこはすでに我帰る場所だ


道具は揃い


人の関係も生まれ


生きる糧を得られる畑はでき


家も提供された



失うこと無かれ


手を滲ませ土を掘れ


さすれば生きる意志は生まれる


生きる糧は自らの開拓の心に他ならない



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