配信三回目

「皆さん、こんにちは! 初めましての人は初めまして。昨日、一昨日と来てくれた人は今日も来てくれてありがとうございます! ヴェンデッタチャンネルへようこそ。新米配信者であくまさもなーのヴェンデッタです! いえいっ!」



・きちゃ

・ヴェンデッタちゃん!

・はじまた

・待ってました!!

・いぇい! かわいい

・開幕十割



「ちょ、ちょっと最後のは恥ずかしかったですね……。うわっ、もうこんなに……四千人!? まだ始まって三十秒くらいですよ……?」



・そろったー見たよ!

・告知あったから

・フォローしますた

・開始の呟きもしてもろて

・一時間前から準備してた

・三日前から準備してた



「そろったー見てくれたんですね。ありがとうございます。告知とかちょっとしたつぶやきとか、そんなに頻度は高くないと思いますが、随時投稿していきますので、フォローしていただけると幸いです。あと、三日前から待機してる視聴者さんは何者で……? まだ俺が存在してませんよ?」



・すでにしてあるが?

・当たり前だよなぁ!!

・未来予知ニキ!?

・超能力者おるな??

・その時――視聴者の脳内に溢れ出す――存在しない記憶――

・――ヴェンデッタちゃんは俺の嫁



「はい、戯言はその辺にしといてくださいね? もう一人の挨拶がまだですから」


「――――そーよ! ワタシにもはなさせなさい!」


「あっ、ちょっ! いきなり抱き着くなよ……」



・おおっ! ローちゃん!

・ローちゃんきちゃ!

・距離近い……近くない?

・開幕てぇてぇはリーサルウェポン

・死んだわ

・死亡ニキ成仏して……?



「てか、ローザネーラ。俺、呼んでから出てきてって言ったよな?」


「ふんっ、いいかげんまつのにもあきたのよ。わたしもまぜなさいっ」


「はぁ……分かった分かった。それじゃ、お前も皆さんにちゃんと挨拶してくれ」


「ふふん、わかればいいのよ。それで、あいさつ? このいたにすればいいの? ……ひれふしなさい! ぐみんども!」


「おいっ!?」



・ハイ! 貴女様の愚民です!!

・イエス! ユア・ハイネス!

・踏んでください!

・罵ってください!!

・強くなじって!!

・俺はヴェンデッタちゃんにも踏まれたい



「うわぁ……コメントが一瞬でドMで埋まった……。つーか、ローザネーラ! いきなりなんてこと言うんだよ!?」


「だって、なんかきしょくわるかったんだもの。あと、ワタシをぶれいなよびかたしたやつもいたわね! ゆるせないわ!」


「ローちゃん呼び、そこまで嫌なのか……」


「いやよっ! ぜったい、いやっ!!」



・ローちゃんごめんね

・怒らないでローちゃん

・ごめんてローちゃん

・許してローちゃん

・おい! ローちゃんのことをローちゃんって呼ぶなよ!

・踏んでくださいローちゃん



「よぶなって!! いってる!!! でしょぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



・www

・www

・www

・www

・www

・www



「ますたぁ! こいつらむかつくぅ!!」


「どうどう、喧嘩しなさんな。コメントの皆さんも、ちょっとは自重してくださいよー?」



・はぁーい

・おこられた

・もっと怒れよ

・叱ってほしい

・圧を掛けて圧を!

・途切れない怒涛のドM



「……皆さん?」



・ひぇ

・ひぃ

・こわい

・目が笑ってねぇ……

・ごめんなさい

・ありがとうございました!!



「もー……。はい、そろそろ本題に入りますよ? ローザネーラも、落ち着いて」


「ふーっ! ふーっ! ……ふんっ、ますたーがそういうなら、ゆるしてあげるわよ」


「ありがとな、ローザネーラ。……さてと。今日はちょっと、視聴者様方に教えてほしいことがありまして」



・お?

・なんぞ?

・何でも聞いてー?



「俺のステータスの事でして、習得した方がいいスキルとか、第二職業のおすすめとか、いろいろ教えてほしいんです。自分でも調べてはみたんですが、やっぱりこのゲームに詳しいであろう視聴者様の意見も聞いておきたいなって」



・おっと、これは責任重大

・安価?

・安価ではない

・信頼してくれてる……だと!?

・素直に嬉しい

・ヴェンデッタちゃん大丈夫? ここに居るの、だいぶアレな連中ばっかりだよ?



「それ、自分で言うんですか? ……まぁ、確かに俺やローザネーラみたいな子供」


「こどもじゃないわよっ!」


「……幼い見た目をした人に罵られたいという、かーなーりー、特殊な趣向をお持ちの方が散見……いえ、ウォー〇ーを探せのモブなみに見られますけど」



・かーなーりー、カワイイ

・ジト目すこ

・ローちゃんのインターセプトすこ

・それ、ひしめき合ってない?

・ひしめき合うドMの群れ

・最低な百鬼夜行で草



「ドM百鬼夜行……ぷっ、はははっ! ちょ、ちょっとやめてくださいよ! 想像しちゃったじゃないですか! あははっ!」


「ワタシはそんなきもちわるいこうけい、みたくないわ……」


「……ふぅ。けどまぁ、視聴者の皆さんのおかげで助かったこともありますし。皆さんのことは信頼してますよ。今度ともよろしくお願いしますね」



・嬉しいこと言ってくれるやん

・おっけ! 

・よっしゃ! バッチコイ!

・優しい笑顔に惚れました。好きです

・ドM百鬼夜行に受けてるの草なのよ

・それツボなんか……



「それじゃあ、まずは……種族進化から行ってみましょうか。レベル20になったことで、下級悪魔から卒業できるみたいですね」



・これはまぁ、下級が取れるだけやしな

・種族スキルが増えるんだっけ? 

・《吸精》っていう通常攻撃に微量のMPドレイン効果が付く

・気休めって感じだけどな

・ヴェンデッタちゃんの吸精……ひらめいた!

・お巡りさん、こいつです



「進化先は……二つあるみたいですね」



・は?

・へ?

・お?

・ん~?

・おや、雲行きが……

・早速ww



「えっと、下級が取れた『悪魔』と……『召魔爵ノーブルデーモン・サモナー』? というらしいです」



・おっと、初手から俺らが役立たずになったぞー?

・な に そ れ?

・特殊進化ってこと!?

・マジで?

・悪魔からの特殊進化って……

・確認されてませんね、ハイ



「って……あれ? み、皆さーん? どうしたんですかー?」


「へぇ、ますたー、のーぶるしゅにしんかできるの? まっ、ワタシのますたーですもの。このていどはとうぜんよね!」


「ローザネーラ? え? 何か知ってるの? え?」



・困惑してんのはこっちもだよ

・何かやらかさないとすまないのか?

・一日目、ネームドボスを討伐。二日目、ネームドボスを召喚

・三日目、未確認の特殊進化を発見

・びっくり箱か何か?

・ちょっとこの後が怖くなったんだが??



「……あれぇ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る