シャッフル
牡丹は巳螺野の魔力というほかない言葉によって、むせ返り、鼻から麺を垂らしたのだ。カメラの前で牡丹の愛らしい顔は汚されてしまった。絶対に許せない。
しかし、その怒りの感情とは裏腹に、芍薬の頭脳は冷えている。会場の様子を冷静な目で見つめていた。
思えば、すでに散開戦出場メンバーたちの中で因縁めいたものが出来上がっているように見える。
兎山は日葵を憎んでいる。それはわかる。
優勝候補の一人、
ただ、日葵に熱い視線を送っているように見える。日葵と組みたいと考えているのだろうか。確かに、下馬評だけでいえば、それが最強のタッグのように考えてもおかしくない。
本当に強いのは、私と日葵のコンビだけど。そう芍薬は思っていた。
日葵自身はどう思っているのだろうか。
いつも通り、のほほんとした様子が変わらっておらず、誰と組みたいとも、誰と戦いたいとも考えていなさそうだ。
それを言うならば、巳螺野と
とはいえ、この二人の間には、奇妙な連帯感のようなものがあるように見える。二回戦でともに勝ち抜いた経験から、いつの間にか共闘関係ができているのだろうか。
どんな組み合わせになるのだろうか。その組み合わせはクジによって決定される。
芍薬はドキドキしながら、クジを引いた。
「1番です」
数字が奇数か偶数かによって、チームは分けられる。すでに、六華が「3番」を引き当てていた。
これで、日葵が奇数を引き当てれば最高のチームになる。そんな予感に胸の高鳴りを感じていた。
「4番」
兎山は偶数を引き当てていた。
悪くない。あんな不安定な人がチームに入るのは不安要素だろう。
「6番……だよね」
撫子もまた偶数を当てる。大丈夫、敵対したとしても芍薬には彼女に勝つプランが頭にあった。
今のところ、二対二で分かれている。日葵が来るのか、巳螺野が来るのか。その可能性は半々であった。
その巳螺野がクジを引く。
「5番か」
はっ!? 芍薬は思わず、声を出しそうになった。
六華と目が合う。六華もまた驚愕と悲壮感の合わさったような複雑な表情をしていた。その直後、頭に手を当てる。絶望のポーズだ。
「私は何番かな」
日葵は能天気な表情で最後のクジを引く。当然、「2番」である。なぜ、それがわからないのか。
お前は最初の天下一武道会の時の孫悟空かよ。思わず、心の中で芍薬はツッコミを入れた。
第三回戦の組み合わせが決まった。
芍薬、六華、巳螺野の奇数チーム、日葵、撫子、兎山の偶数チームの戦いとなる。勝負の行方はようとして知れない。
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