第9話 えぇ!こんなに早く駅に着くって…

「ほらぁ、着いたぞぉ!駅だぁ。」

「えぇ?えぇ…嘘ぉ。えぇ!こんなに早く駅に着くって…」

「まぁ、たいていは、こっちに着くというかぁ…ペンローズの階段やエンドレス・ノットやエンドレス・エイトみたいな現象がこの世界では起きているみたいなものだなぁ。」

「ペンローズの階段?エンドレス・ノットって…」

「そうだなぁ。言葉で説明するよりも作ってみたら解るなぁ?ちょっと、郵便局があるから寄って行こう。たいていは、テープやらのりや紙ぐらいはあるからなぁ…とはいえ、何も買わないのも悪いからハガキを1枚買っていくかなぁ。すいません、ハガキを1枚下さい。」

「54円です。」

「はい。」

「有難うございます。」

「あれぇ、悪魔が買うんだぁ。あり得ないなぁ?悪魔やサタンは盗む事ぐらい出来るでしょ?結構、真面目なんですねぇ?」

「もしかして、サタンや悪魔が全員、悪い奴だとか?盗みや犯罪などをやると思っているのか?殺し屋や悪魔の手下などと思っていないかい?あれは、映画やドラマの見過ぎで偏見を植え付けられているに過ぎないのさぁ?まぁ、頭の悪い奴が考える事だけどなぁ…あぁ、嘆かわしい。まさかなぁ…そう見られていたなんてぇ…ショックだなぁ。だから、「レッテルを貼る」という事が罪だと気付かないのさぁ。「ラベリング論」って知っているかい?」

「知りません。」

「なら、この際だから伝えておくよぉ。君の為には、なりそうだからねぇ?

「「ラベリング論」とはベッカー(Becker,H.S.)が唱えた理論なんだけど…規則に反した人にラベル(レッテル)を貼ることで、その人は逸脱者とみなされる。するとその人を逸脱者としての行動パターンをとらざるを得なくなる。「逸脱」は、周囲からのラベリングによってつくり出される。」という事だよぉ」

「確かに…罪ですねぇ?えぇ?落ち込んでます。すいません。そんなに落ち込むとは思わなくて…」

「そりゃさぁ…。サタンって知ったらさぁ。たいていはさぁ…「近寄るなぁ」とかぁ。「消えろ!」ってさぁ…言われるよぉ。それだけじゃないよぉ!しまいには「除霊」をしたり、「聖水」なんて浴びせてくる。こっちはたまったものじゃないんだぁ。「除霊」をされたら「苦しくなる」し「聖水」をかけられたら「ヤケド」になるんだよぉ。悔しくてねぇ…その度に、こっちはさぁ…「心に大きな穴が開いてしまってさぁ。本当にそうしなきゃならないのかなぁ…って」思うんだよぉ。何も悪い事してないのにだよぉ。でもさぁ…悪魔やサタン失格と言われても、やっぱり出来ないんだよぉ。犯罪や殺しなどは出来ないよぉ…。」

「本当にごめんてぇ。悪気があって言ったわけじゃないから気にしないでよぉ。色々と合ったんだねぇ?辛かったんだねぇ?ごめんねぇ?」

「グスン。ごめんねぇ…つい、昔の事を思い出してねぇ…」

「ほらぁ、あそこにコンビニがあるから、私が甘いデザートを奢って上げるから?」

「本当に!わぁ〜い!わぁ〜い!ヤッホぉ!」

「そうなんだぁ…。悪魔にもこんな純粋で汚れていない悪魔もいるんだなぁ。」

「美味しいなぁ。これはかき氷に生クリームにゼリーも入っているんだぁ。ヘェ?「ハロハロ」って言うだぁ。なるほど…今度、お土産に買っていこうっと。「こんにちは。こんにちは。」かぁ。なんて、気持ちが良い名前なんだろう?」

「そうだねぇ?それにしても、もしかして、外見は大人でも、心は幼いのかも?今まで、叱られたり、怒られたりして、褒められた経験がないのかもなぁ…」

「えぇ?どうしたのぉ?何か言った?」

「美味しいそうに食べているから「うれしい」なぁって…」

「あぁ、そうそう、忘れていた。エンドレス・エイトだけど…この紙を回して8の字に繋げると…どうなる?」

「えぇ!終わりがない。スタートがゴールにゴールがスタートになった。不思議。」

「そうなんだよぉ。だから、一瞬で目的地に着くというわけさぁ。」

「なるほどねぇ?」

「すごいなぁ!色々と知っているから、やっぱり、先生だなぁ。」

「そうかなぁ?褒められた経験がないから、恥ずかしいけど…気持ちが良いなぁ?」

「私も同じよぉ。褒められた経験はほとんどないよぉ。なんかぁ…私もうれしいなぁ。」

「あぁ、そうだ。駅前の宝くじ売り場に行かなきゃねぇ?」

「私、宝くじを買った事ないから?どうすれば良いのかなぁ?」

「今日は、宝くじを買いに来たんじゃないよぉ。もちろん、宝くじ売り場で宝くじを買う事も出来るけど…すぐに結果が出るスクラッチを買いにきたんだよぉ。そうだなぁ。最高金額が50万円と安いのにしようねぇ?突然、当たったら、ビックリするからねぇ?」

「すいません、200円のスクラッチを10枚下さい。」

「2000円になります。」

「はい。有難うございます。当たると良いですねぇ?カップルさんなら、当たってもらいたいなぁ。」

「もぅ、カップルさんって…」

「当たったら、ランチを豪華にしてもらいなよぉ。」

「有難うございます。」

「ねぇ?どうすれば良いのぉ?」

「この銀色の部分を削って、絵柄を揃っていれば当たりだよぉ。」

「へぇ、そうなんだぁ…。」

「なら、削るねぇ…。ガリガリ…ガリガリ…あちゃ、だめだなぁ。後2枚になっちゃった…落ち込むなぁ…本当に元が取れるのかなぁ…泣きそう。」

「大丈夫。これで良いんだよぉ。」

「ガリガリ…ガリガリ…。あぁ…残り1枚になっちゃった。あれぇ、ガリガリ…ガリガリ…、嘘ぉ。黒猫が3個揃ったよぉ?」

「あぁ、本当だねぇ?良かったねぇ?3000円です。」

「有難うございます。元は取れた。」

「よし、家に戻るよぉ。」

「えぇ?もぅ、戻るのですか?」

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