第5話 日記に書いた事が逆になるなんてぇ!

「今日は最悪だったなぁ。いつもは優しいお母さんが突然、性格は変わるし、お店まで休むとはなぁ。幼稚園に行って、タカシくんや健太くんがいつものようにイジメて来るし、先生も怒るし、しまいには白鳥さんがお弁当にマヨネーズをかけるしとにかく最悪だったなぁ。ふぅ。泣きそうだなぁ。はぁ、良い事はないかなぁ。流石に今日の出来事は日記に書けないなぁ。」


でも、日記帳だけは書かなきゃなぁ。

明日の事なら大丈夫よねぇ?

毎日、日記は書かなきゃならないけど内容まではねぇ。それなら、たくさん書けるもんなぁ…

よし!日記を書いてから寝ようっと。ルンルン。


3月1日(金)「 明日は朝早くからお店のお手伝いをする日です。ドカタの兄ちゃんたちは休みになると駅前のパチンコ屋でパチンコをうちにきて、たくさんのお客さんが来ます。近くのおばちゃんたちも手伝いにきてお店は賑やかになります。お母さんと一緒に働けるのでとっても楽しみです。沢山のお金を稼いで、楽をさせたいです。でも、まだまだ、大人にはなれないの来月からは小学校なので勉強を頑張ってお店を繁盛させたいなぁ。」


「はい、はい、こちら、日記推進管理局ですが…。えぇ?「未来日記」を書いているって?参ったなぁ。解りました。ちょっと、顔を出してきます。」

「どうしたんですか?室長?」

「クレームだよぉ。」

「もしかして?」

「そうだよぉ。「未来日記」を書いてしまったみたいだぁ。知らないにしてもまずいんだよなぁ。」

「とは言いながら、こちらの都合で未来を変える事が出来てもですか?」

「おいおい、今回の件は上層部がミスをしたからイレギュラーなケースなんだよぉ。本来なら日記推進管理局から出向いて3日間過ぎてから正式に日記の使用方法を行い説明の上、同意を頂いてから契約になるけど…。幼い子供だろ?それに理解出来る訳がないから、時間を早送りして内容が理解出来る年齢まで遡り契約を行う必要があるんだよぉ。」

「なるほどなぁ。しかし、本人にとっては急に20歳になったら不思議じゃないですかぁ?」

「そりゃ、そうだけど…やむを得ないよぉ。上には逆らえないし、マイホームのローンも後25年残っているからなぁ。」

「大変ですねぇ?室長。」

「じゃ、行って来るなぁ。そうそう、時空取扱局室長のサファリ・ローズには俺から伝えておくから、お前たちは知らないと統一しておいてなぁ。」

「かしこまりました。」


「ピンポン」

「誰だろう、こんな時間に…お母さん?」

「あれぇ、いないやぁ。しょうがないなぁ。居留守を使おう。」

「ピンポン。ピンポン。ピンポン…」

「もぅ、なんなのよぉ。こんな夜中に…もしかして、お母さんに何かあったのかなぁ。はい、今出ます。どちら様ですか?」

「あぁ、すいません。真夜中に訪問致しまして、私こういう者でして…」

「日記推進管理局室長 ブラック・ダークナイト?」

「はぁ?ご要件は?」

「ちょっと、すいません。」

「えぇ!どうなっているのぉ…。ここは、お店ではないじゃない。小さなアパートになっているじゃないのぉ…。」

「すいません、早回しで時空を変えてます。」

「えぇ?よく解らないけど…」

「鏡を見て下さい。」

「ちょっと、えぇ?これが私?」

「本当に申し訳ないのですが年齢を20歳にしております。現在のお仕事は駅前のスーパーでレジ打ちのアルバイトをしております。」

「ちょっと、どういう事?お母さんは?ちゃんと説明してもらえますかぁ?」

「お母さんは消息不明でして、たぶん亡くなっていると思われます。」

「そういえば、テルさんから日記帳を頂きましたよねぇ?5歳の頃に…?

その日記なんですが…実は「悪魔の日記」でして使用方法によっては良くも悪くもなる恐ろしい日記でして…つまり、責任能力がある20歳から使用出来るんですよぉ。」

「あのぅ、よく解らないのですが?」

「つまり、日記帳ですが、良い事を書けば悪い事が起こり。良い事を書けば悪い事が起こりまして。しかし、「未来」を書く事は出来ないのです。」

「という事は?」

「そうなんです。あなたは知らずに「未来」の事を書いてしまいまして…やむを得ずあなたを20歳にして、契約を行いにきたという訳なんです。」

「待って?確か?最後に書いた日記には…」

「そうですねぇ…。「ドカタの兄ちゃんはパチンコに行ってお店にたくさん来ます。近所のおばちゃんがお店を手伝いをして賑やかになり、お母さんと一緒に楽しく仕事をします。たくさんのお金を稼いで楽をさせたいです。勉強も頑張って繁盛させます。」だったと思いますが…すいません。反対になりました。」

「現実は…ドカタの兄ちゃんはパチンコで出なくなったのはみすぼらしいお店が原因だと近所のおばちゃんたちも一緒になって店を破壊しました。警察も来たのですが、解体工事だと納得されて去っていきました。更に、お母さんは浮気相手と一緒に失踪し、孤児院に入る事になりました。借金だけが残りました。」っとなりました。

「ちょっと、最悪じゃない?」

「ですから、これからの人生を取り戻して欲しいと思いまして…」

「なら、どうすれば良いのよぉ?手っ取り早く、お金持ちに出来るぉ?」

「それは、何とも言えませんが、お金を得るという事は…リスクは払いますが…大丈夫ですか?」

「なら、この日記を手放したいのですが…」

「申し訳ございません。手放すにも1億円は必要でして…すいません。」

「という事は契約しなければ、1億円の借金をする事になるじゃない?」

「そうですねぇ…。すいません。これって、詐欺じゃない?」

「そうは言いましても、本来の契約ですと契約不履行ですと代償は「死」を持って償って頂きすが…大丈夫ですかぁ?」

「どう言う事?」

「第三者に知らずに渡してしまうと…テルさんのように死にます。」

「とは言え、お婆さんの話を聞いていなかったので自業自得ですが…」

「という事は日記を手放す事も出来ないじゃない!」

「まぁ、お怒りはごもっともですが…こうして、誠心誠意を持って謝罪にきた訳でして…もちろん、年齢を15年早送りした代償はこのぐらいで大丈夫でしょかぁ…。」

「えぇ?1500万もくれるのですか?」

「まぁ、そのぐらいしか出来ませんが…」

「という事は日記を書いた事が逆になるんですねぇ?」

「そうですが…」

「詳しい事は、立ち話も何ですから?中に入って下さい。」



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