第4話 日記推進管理局

2月28日(木)「今日はたくさんの良い事がありました。いつもは体調が悪くて起きられないお母さんがお弁当を作ってくれました。朝食に出汁巻きたまごや金平牛蒡を作ってくれました。すごく優しくてうれしかったなぁ。つぎに、健太くんやタカシくんがイジメをしなくなりました。謝ってくれました。その後は、先生達も私を褒めてくれて、ビックリしたけど良かったなぁ。それから、私のお弁当を見て、褒めてくれたり、白鳥さんがマヨネーズをくれました。うれしかったなぁ。明日もどんな楽しい事があるのかなぁ?今日は幸せでした。」

「あぁ、そろそろ寝なきゃ。」


一方その頃


「はい、こちら日記推進管理局室長のダーク・ナイトです。」

「あぁ、どうも、どうも、ご無沙汰です。上西社長。いやぁ、いやぁ、こちらこそ、どう致しまして…そうですかぁ。なるほど、上半期のノルマが達成したのですかぁ。それは良かったです。今度はどんなご要件でぇ?」

「はい、そうですか?なるほど…幼い子供に日記が渡っているけど…可哀想だと。」

「確かに、そうですが…そもそも、この日記帳を作成したのは、上西さんの会社ですよねぇ?私達は日記を管理して実行する為に…」

「えぇ?そうなんですかぁ?もともと、20歳を越える人に渡るはずが手違いでぇ?なるほど…なら、大人にすれば宜しいのですねぇ?」

「かしこまりました。なら、「大人になんてぇ…なりたくない」と日記に記載出来たら有り難いと?かしこまりました。上西さん、解ってますよねぇ?いつもの頼みますよぉ…」

「もちろんだよぉ。」

「では、それ以外は訂正なくいつも通りに実行すれば宜しいですねぇ?」

「かしこまりました。」


「おはようございます。室長。」

「おぉ、おはよう。昨日は有難うなぁ。レッドさん。」 

「いやぁ、久しぶりですからうまくいくかぁ…心配でしたよぉ。」

「だよなぁ…前日からテープを見て修正する作業は1人では困ったよなぁ?」

「いやぁ、実はブラウン課長が先方との打ち合わせを早めに終えまして手伝ってくれまして、終電で帰らせて頂きまして…」

「という事は…課長は?」

「昼から出社です。」

「そうなのかぁ。まぁ、久しぶりの大きな仕事になるから大変だと思うけど頑張ってなぁ。今日は課長が来たら帰ってゆっくりすると良いよぉ。私の方から伝えておくから。大丈夫だぁ。その代わり、使用した雑費の集計して請求書の作成と残業申請書の作成を午前中に提出してもらって大丈夫かい?」

「はい。すいません、雑費の集計なんですが…課長じゃなければ、解らない箇所がありまして…」

「そっか、そっか、人材派遣料と旅費交通費だねぇ?それは課長にお願いするから、それまでの費用で大丈夫だよぉ。」

「それなら、課長しか解らない部分は空欄にしておいて、後は課長から書類を頂くよぉ。」

「なら、午前中に終わらせます。」

「では、私はこれから、「人口増減推進計画会議」と「厚生省「日記推進局実行推進における法整備に関しての提案書における議題について」」の会議と1日中、留守にするので宜しくねぇ。」

「はい、かしこまりました。」

「さてぇ。やるかなぁ。

まずは「請求書」

1.テープレンタル料      52500円

2.テープダビング料      10000円 

3.テープ修正料(5箇所)   10000円

4.テープ録画料        10000円

5.記憶入力料        750000円

6.追加記憶入力料       15000円

よし、後は人材派遣料と旅費交通費を入れれば大丈夫だなぁ。休憩、休憩。」

「それにしても、ふぅ、疲れるなぁ。これから、毎日続くとなるとしんどいなぁ。とはいえ、上層部は日記帳をこれから増やすと言っていたけど…大丈夫なのかなぁ。事務仕事が増えれば人材を増やさなければならないし、今は、感染症問題で人口減少に歯止めが聞かないのになぁ。とはいえ、このままでは地球が消滅する危機だからやむを得ないかぁ。さてぇ、そろそろ課長が来る時間だなぁ。」


「おはよう。」

「あぁ、課長、おはようございます。」

「室長から聞いているけど…請求書出来ているかぁ?まぁ、数字を入力するだけだから大変じゃなかったかなぁ…。」

「そうなんですけど…予算オーバーでして。今ですが847500円でして…」

「どれどれ、おいおい、桁が一桁違うぞぉ。84750円なら大丈夫だなぁ。後は人材派遣料と旅費交通費を入れたら大丈夫だなぁ。あれぇ、機材搬入料と着付・コーディネート料が抜けているなぁ。後は日記推進保険代金10%が引かれていないぞぉ。」

「あぁ、すいません。やり直しますよぉ。」

「大丈夫だよぉ。昨日は1人で頑張ったからこっちで直しておくから、残業申請書を出したら今日は上がって良いぞぉ。では、月曜日。」

「課長、お先に失礼致します。」

「お疲れ様。」

「さてぇ…っと、請求書を仕上げるかなぁ。

まずは、桁を直して、機材搬入料金7500円、着付・コーディネート料金12500円、人材派遣料125000円、旅費交通費30000円、あぁ、そうそう、バーチャルリアリティー風景動画代15000円、AI費用料金12000円も抜けていたなぁ。でぇ、合計金額は299250円っと。あれぇ、今回は40万円の予算だったから安く済んだなぁ。後は10%引いてっと269325円だなぁ。よし、請求書は終わった。よしよし。」

「おぉっ!早速、仕事が入ってきたなぁ。」

「ガタガタ、ガタガタ…」

「どれどれ…さてぇ、まずは逆の日記に変えなきゃなぁ。2月28日 今日は悪い事がたくさんありました。いつもは体調が良くて起きている「お母さんが弁当を作れ!」と言いました。朝食に「出汁巻き玉子と金平牛蒡を忘れないでぇ!」っと怒鳴りました。突然の事でビックリしました。

次に、健太くんとタカシくんが昨日とは違っていつものように「ここには来るなよぉ。貧乏がうつるだろう」っと悪口を言いました。謝れっと言いました。よく解らないけど謝りました。

その後、先生が来て「どうしたのぉ?」と言ったので健太くんとタカシくんが「足を踏まれた。」と言って先生から「駄目でしょ。素直に謝らなきゃ!」っと怒られました。すごく悔しくなりました。

それから、鞄に自分で作ったお弁当が上下反対に入っていたのでご飯とおかずがグチャグチャになっていた。

それを見た周囲の人が「気持ち悪い…」って言い始め、最後に白鳥さんからマヨネーズをかけられて食べる事が出来なくなりました。

明日はどんな悪い事があるのだろう?今日は最悪でした。」


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