第3話 えぇ?どうなっているのぉ?

「はい、はい、これから、午後は午前中に描いた母親の絵を発表してもらいます。」

「えぇ!そんなの聞いていないよぉ。」

「ちなみに、ここに作文用紙があります。」

「もしかして?」

「そうです。日頃の感謝を込めて作文を書いてもらいます。今が13時ですので14時には発表してもらいますねぇ?」

「はい。」


「はぁ、どうしよう。あきちゃん?」

「どうしたのぉ?吉村さん。」

「実はちょっと、お腹が痛くなってきて…トイレに付き合ってもらって良いかなぁ。」

「先生、吉村さんがお腹が痛くなったので付き添っても大丈夫ですか?」

「大丈夫よぉ。」


「ほらぁ、今よぉ。片岡さん。」

「あきちゃん、赤色のクレヨン貸してもらって良いかなぁ?」

「大丈夫よぉ。使ったら戻して置いてねぇ?」

「有難う。」

「ちょっと、行ってきます。」


「鞄の中にマヨネーズを仕込みましたよぉ。」

「よくやったわぁ。」


「お帰りなさい。大丈夫だった?」

「はい、すこしもどしましたけど…大丈夫です。吐いたらスッキリしました。」

「あきちゃん、有難うねぇ。」

「良いのよぉ。」

「あきちゃん、赤色のクレヨン有難うねぇ。お母さんの口の色が濡れたよぉ。」

「いえいえ。」

「あきちゃんは偉いわねぇ。今日は色々な人から「有難う」を言われてますねぇ?皆さんも人には優しくしましょうねぇ?」

「はい。先生。」


「あぁ、そろそろ、時間になりますが皆さん終わりましたかぁ。」

「先生、まだです。」

「大丈夫よぉ。木崎さんと吉村さんはもう少し頑張ってねぇ。」


「では、そうだなぁ。田中くんからお願い出来るかなぁ?」

「えぇ!まじかよぉ。」

「タカシ、がんばぁ。」

「はい、やりますよぉ。」

「うちのかぁちゃんは、よく働いてます。父ちゃん以上に働きます。朝から野菜を仕入れてます。」

「あらぁ。素敵ですねぇ。」

「はい、皆さん拍手。」

では次は…

「白鳥さんお願い出来ますか?」

「ごめんなさい。今日は体調が良くなくて…すいません。」

「なら、そうねぇ?木崎さん、お願い出来ます?」

「はい。」

「私のお母さんは朝早くから、1人で駅前のあきの小町食堂を頑張ってます。汗をかきながら1人で料理をして、会計してます。私のお母さんは世界一です。」

「そうねぇ。木崎さんの家は大変ですけどそれでも前を向いて頑張ってますねぇ?絵も上手に描けていますねぇ?拍手。パチパチパチ。」

「どうしたのぉ。机の上に急に立ち上がって。タカシくん?」

「木崎の家はさぁ…本当にすげぇんだぁ。その辺のかぁちゃんより働くし綺麗なんだぁ。もっと拍手だぁ。ほらぁ?」

「あれぇ、健太くんまで。ほらぁ?拍手だぁ!」

「パチパチパチパチ…パチパチパチ…!」

「もぅ、みんな有難うねぇ。」

「はいはい、みなさん、落ち着いて、木崎さんが困惑してますよぉ。」

「それでは、そろそろ、帰りの支度をしましょう。」

「みなさん、忘れ物はないですか…」

「嫌だぁ…誰よぉ。私の鞄にマヨネーズ入れたのぉ!」

「どうしたのぉ?白鳥さん。」

「私の鞄にマヨネーズがぁ…べとべとになっているじゃない!いったい誰よぉ!こんな事したのぉ!」

「おいおい、マヨネーズは自分で持ってきていただろう?蓋を締め忘れたじゃない?」

「白鳥を怒らせる勇気がある奴はいないって!」

「そんな事はないわぁ。あり得ないわぁ。」

「白鳥、うるせい!少しは仲間を信じろって!」

「タカシ言い過ぎだって。白鳥はビックリしたんだよなぁ。ほらぁ、これを使えって?」

「あぁ、有難う。健太くん。」

「ポンポン、おまえは優しい女だぁ。俺はわかっているぞぉ。」

「おぉ?顔が赤くなってりゃ…アンパンマンだなぁ…」

「もぅ、今日は最悪!ちょっと、片岡さん来て。」


「あんたさぁ。私の鞄と木崎の鞄間違えたでしょ?」

「そんな事ないですって、白鳥さん見ていたでしょ?」

「そうだけど…。」

「それにしても、木崎さんは鞄を触っても何の変化もないみたいじゃない?どうなっているのぉ。」

「えぇ、そんな事はないはずだけど…」


「木崎さん…ちょっと待って!」

「どうしたのぉ?白鳥さん?」

「鞄、鞄見せて?」

「良いですけど…」

「すごい!これって、レアなやつでしょ?開けて見せて。」

「はい、どうぞ。」

「有難う。」


「嘘だぁ。マヨネーズをたっぷり仕込んでおいたのに…綺麗になっているじゃないのぉ。えぇ?どうなっているのぉ?」


「お母さん、ただいま。」

「お帰り、今日は良い事でもあったのぉ?」 

「お母さん、聞いて?実はねぇ?」

「へぇ、そうなんだぁ。良かったわねぇ?」

「お母さんはどうなのぉ?」

「お母さんにも良い事があったわぁ。」

「そうなんだぁ…。良かった。」

「お風呂沸いているから、明日の準備をして寝るのよぉ。お母さんは再度、食堂に戻るけど、鍵を閉めて置いてねぇ?」

「はい。」

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