第2話 あり得ないって…
2月27日(水)「早速、日記帳を書きます。今日は悲しい事がありました。テルさんが亡くなりました。あまりに突然な事でどうにかなりそうです。明日から、幼稚園に行くと決めたけど…涙が止まりません。テルさんに最後に逢いたいなぁ。肩車してもらったら元気になるのになぁ…」
「来ましたよぉ。早速、新しい依頼人が日記帳を書き始めましたよぉ。」
「どれどれ、なるほどなぁ。」
「この依頼人はここの秘密が知らないらしいねぇ?」
「そうみたいですねぇ。確か、お婆さんからこの人に渡った日記帳が幼い子供に渡った事により、死ぬ運命になる事を知らなかったみたいですねぇ?」
「そうみたいだなぁ。何かぁ、残酷ですねぇ?」
「しょうがないよぉ。この日記帳は悪魔の日記帳だからなぁ。」
「ですねぇ…知らない方が幸せな事もあるからなぁ」
「ところで、この日記から何をしましょうかぁ?」
「そうだなぁ。楽しい事をプレゼントするかなぁ…。まぁ、本人は「悲しい事」の反対の事が起きたらきっとこの日記を「幸運な日記」と思うだろうからなぁ。」
「では、早速、手配を致しましょう。」
「今日はテルさんと約束した幼稚園に行かなきゃなぁ。とても、足が重くて憂鬱だけど…天国で見ているもんねぇ。頑張るねぇ。」
「あらぁ。あきちゃんはすごいわねぇ?起こさなくても1人で準備して着替える事が出来るなんてぇ?お母さんはうれしいわぁ。」
「だって、テルさんが見守っているもん。だから、頑張ったんだぁ。」
「そうねぇ。偉いわぁ。感心、感心。では、早速、朝ご飯を食べましょう?」
「お母さん、今日の朝ご飯はとても美味しい。」
「でしょ?今日は出汁巻き玉子と金平牛蒡を作りましたよぉ。私もテルさんが亡くなってショックだったけど…あきの笑顔の為に頑張ったわよぉ。」
「有難う。お母さん。」
「あらぁ?すごいわねぇ。久しぶりに残さず食べたわねぇ?」
「そりゃ、そうよぉ。美味しかったから。」
「忘れ物はない?大丈夫?お弁当は?」
「大丈夫だよぉ。持っているよぉ。」
「では、行ってらっしゃい。」
「行ってきます。」
「おはようございます。」
「あらぁ。あきちゃん、おはよう。」
「おい、健太とタカシ。あきが来たぞぉ。」
「まさかなぁ。急に幼稚園を休んで問題になるとはなぁ…参ったよぉ。」
「これ以上、問題を犯したら大変だから謝っておけよぉ。」
「そうだよぉ。」
「健太くんやタカシくんは悪くないけど…」
「わかったよぉ。」
「あきちゃん、せぇ、先週はごぉ、ごめんなさい。」
「あらぁ、健太くん、こちらこそごめんなさい。」
「あきちゃん、ごめんねぇ。傷つけるつもりはなかったんだぁ。」
「タカシくんも大丈夫だよぉ。有難う。」
「あぁ、ムカつく。私の健太くんがあんな奴に謝るなんてぇ!許せない。」
「チカちゃん、落ち着いて。この想いを倍にかえさないと気がすまないなぁ。」
「あらぁ、よく戻って来たわぁねぇ。良かったわぁ。このまま、「バラ組」から居なくなると思っていたわぁ。」
「あぁ、こんにちは。白鳥さん。」
「こんにちは。木崎さん。」
「あらぁ、佐藤くんと田中くん、どうして木崎さんに謝っているのかしら?」
「まぁ…色々あって。」
「あらぁ、そうなのぉ。まぁ、詳しい事は後日聞く事にするわぁ。」
「はい、はい、皆さん、幼稚園に着きましたよぉ。今日は皆さんには日頃の感謝を込めて母親の似顔絵を書きましょう。」
「あらぁ、白鳥さんは絵が上手ねぇ?」
「そうですか?」
「そういえば、白鳥さんのお母様は白鳥財閥のお嬢さんでしたねぇ?」
「もう、先生それは言わないで下さいよぉ。幼稚園の送迎バスで送り迎えしている庶民と一緒ですから。」
「でも、寂しいわぁ。来月からは送迎は身内がやられるですよねぇ?」
「そうですけど…。今月一杯は送迎バスでの通園ですからうれしいですよぉ。」
「あぁ、面倒くさいなぁ。あの人。デリカシーがなさ過ぎて嫌よぉ。とはいえ、来年からは健太くんと同じ私立の小学校だからうれしいけどねぇ。」
「えぇ、そうなんだ。私立の小学校受験していたんだぁ。」
「そうよぉ。花村さんは?」
「私も私立の小学校ですよぉ。」
「という事は私達以外は公立かしら?」
「だと思うけど…」
「あらぁ、健太くん、絵が上手ねぇ?」
「あぁ、有難う。白鳥さん。」
「そうそう、そう言えば、小学校は何処に行くのぉ?」
「俺達は庶民だから、公立の南ヶ丘小学校に通うけど…」
「そう言えば、健太は?」
「俺は私立の名桜大附属小学校に通うけど…。」
「そうなんだぁ。寂しいなぁ。」
「あらぁ、偶然。健太くんと同じ小学校ねぇ?」
「そうなんだぁ。白鳥さんと一緒とはうれしいなぁ。」
「はい、はい、皆さん、それでは、お昼にしましょう。」
「あらぁ、木崎さんのお弁当は美味しいそう。キャラ弁当じゃない。ミッキーマウスって。すごいこっている。」
「おぉ!すげぇ!健太?見てみろよぉ!」
「本当だぁ。あきちゃんのお弁当最高じゃん。」
「あらぁ、本当ねぇ。素敵なお弁当ねぇ。」
「いやぁ、そんな事ないですよぉ。」
「悔しい!キャラ弁当だか知らないけど…ちょっと、花村さん。」
「あらぁ、すごい!すごい!このお弁当はサン・ピエトンの舞姫弁当じゃない。」
「おぉ!流石は白鳥さんのお弁当だなぁ。」
「ちょっと、ちょっと、タカシくん。ジロジロ見ないですよぉ。恥ずかしいじゃない。」
「良いなぁ。美味しいそうだなぁ。」
「もう、しょうがないわねぇ。健太くんとタカシくんにはこちらのサンドイッチを上げますわぁ。」
「いやぁ、悪いよぉ。じゃ、俺からはエビフライを上げるよぉ。」
「うそぉ!健太くんって最高!エビフライ、エビフライ!るんるん。」
「それにしても、庶民の木崎さんが佐藤君の視界に入るとは許せないわぁ。」
「ちょっと、ちょっと、花村さん、片岡さん、呼んで来て。」
「お嬢様、どうしましたか?」
「ちょっと、気に入らないから、木崎さんのお弁当をひっくり返して…」
「ちょっと、それは、流石にお嬢様でも無理ですよぉ。」
「あらぁ。あなたのお父さんがどうなっても良いのかしら?」
「また、求職して大変になっても知らないわよぉ。」
「それは…。」
「冗談よぉ。なら、このマヨネーズをさり気なく鞄に入れてきて。」
「これぐらいなら出来るわねぇ?」
「まぁ、その程度なら…ばれないかしら?大丈夫よぉ。」
「ちょっと、待ってて。あらぁ、木崎さん、海苔弁当のキャラ弁当素敵ねぇ?海苔弁当にはマヨネーズよねぇ?良かったら、どうぞ。」
「あぁ、有難うございます。」
「それにしても、先週とは違うなぁ。白鳥さんから、マヨネーズをもらったり、佐藤くんや田中くんが謝って来たりと良い事が続いているなぁ?あり得ないなぁ…あり得ないって…午後はそうはいかないだろうけど…」
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