補遺 - 『Vanquish』とは


 霊符決闘ヴァンキッシュとは、かつて戦乱に明け暮れ、血で血を洗う抗争を繰り返し多くの犠牲者を出していたダマヤフ大陸へと賢神ウィザードアーミティッジ師によって持ち込まれた戦闘概念である。


☆準備

 『ヴァンキッシュ』に必要とされるのは、50枚以上の霊符カードからなる山札デッキである。

 ――なお、同一のカードはデッキ内に4枚まで投入可能である。


霊符カード

 『ヴァンキッシュ』に用いられるカードは、基本的に術者が自らの手で用意しなくてはならない。

 カードは三つの手段によって自らのものとすることができる。


 ひとつは『創造』。

 空白ブランク状態の模倣霊符モーフカードに、触媒や自らの魔力を注ぎ込むことによってカードを生み出す方法だ。

 自らの思い描いた理想のカードを作り出すことで、デッキの完成度をより高めて強化してゆくことができるが、完成するカードの能力は創造者のもつ魔力の質と量、そして製作者がどれほど強固で具体的なイメージを霊符に注ぐことができるかに応じて変わるため、当然ながらより強い資質をもつ術者の方がより強力なカードを創造することができる。

 序幕においてクラウディアの用いた『祝福セイクリッド騎士姫プリンセスナイトアルテミア』や、ノアのデッキに投入されているカードの殆どはこれにあたる。


 ふたつめは『模倣』。

 『創造』と同じく空白ブランク状態の模倣霊符モーフカードを用いるが、この場合は既に存在するカードを複製する行為を指す。

 ただし、この複製についても行う術者の魔力の質と量が結果に影響を及ぼす場合が多々あり、特に実力に見合わない強力なカードの複製を試みた場合などには模倣事故が頻発する。


 みっつめは『入手』である。

 これは一般的なヴァンキッシャーがもっとも多く用いる手段であり、要は既に存在するカードを購入・譲渡・強奪などの手段によって自らのものとする行為だ。

 ――なお、盗賊や犯罪霊符戦闘士クリミナルヴァンキッシャーなどがカードを他者から非合法的な行為によって『入手』する事件は後を絶たず、王国騎士団もこれには頭を悩ませているのだという。


・構築

 山札デッキ構築におけるルールは、『おなじカードは4枚まで』、『デッキ総数は50枚以上』という2点を除き、存在していない。

 ヴァンキッシャーによって、それぞれ山札の構築バランスは異なっている。今後作中に登場するヴァンキッシャーのデッキをご期待頂きたい。


・カードの種類について

 現在、ヴァンキッシュに用いられるカードには以下の4種類が確認されている。


『ユニット』

 伝説の英雄や魔獣、あるいはモンスターといった存在をカードにしたもの。

 基本的にはユニットを召喚して攻撃を行うことで相手にダメージを与えてゆくのが戦いのルールであるため、この遊戯ゲームの主役を担うカードたちであると言える。


『マジック』

 魔法や事象、事件の記録などをカードにしたもの。

 特殊な効果を発揮する使い切りの消費カードである。【カットイン】で使用できるものもあり、これによって相手の攻撃を防いだり、逆に相手の守りを崩したりすることでゲームの流れを大きく変えることができる。


『フィールド』

 土地や建造物などをカードにしたもの。

 場に置かれ続ける限り効果を発揮するものが多い。


『アームズ』

 武具や魔術道具をカードにしたもの。

 基本的にはユニットに重ね、【武装】させることで効果を発揮する。外付けの強化カードである。



☆ゲームの進め方


・盤面について

 それぞれのプレイヤーの盤面には、以下の領域が存在する。


『手札』

 厳密には盤面ではないが、記述する。

 ゲーム開始時は6枚の手札をもつ。プレイヤーは手札にあるカードを、カードごとに設定されたコストを支払うことで召喚/使用/設置することができる。


『場/フィールド』

 召喚した自分のユニットなどを置く場所である。


『山札』

 山札を置く場所である。いかなるタイミングにおいても、この領域のカードが0枚になった場合、そのプレイヤーは敗北する。


『トラッシュ』

 盤上で破壊されたユニットや手札から使った後のマジックなど、『もう使えなくなったカード』を置く領域である。


『リソースエリア』

 カードに設定されたコストを支払うためのリソースを出すためのカードを置く場所である。

 リソースエリアに置かれたカードを[行動済タップ]することでリソースを発生させ、各カードのコストの支払いに充てることができる。


『ダメージエリア』

 相手ユニットのアタックや能力によってダメージを受けたとき、プレイヤーはダメージエリアに山札の上からカードを1枚裏向きで置く。

 ダメージエリアのカードが5枚に達したとき、そのプレイヤーは敗北する。

 なお、ダメージエリアのカードはリソースエリアのカードと同様に[行動済タップ]することで色を持たないリソースとしてコストの支払いに使用することができる。


・ターンの進め方について

 各プレイヤーの手番は下記の順番で進行する。


『リブートフェイズ』

 前のターンで[行動済タップ]したカードをすべて[未行動アンタップ]にする。

 ↓

『ドローフェイズ』

 山札から1枚カードを手札に加える。

 ↓

『リソースフェイズ』

 自分の手札から1枚まで選び、リソースエリアに置くことができる。

 ↓

『メインフェイズ』

 自分の手札のカードをコストを支払うことで召喚/使用/設置したり、場に置かれたカードの【起動】能力を使用することができる。

 ↓

『バトルフェイズ』

 自分の場に置かれた[未行動アンタップ]状態のユニットでアタックを宣言することができる。

 アタックを宣言したユニットは即座に[行動済タップ]状態になり、その後、アタック時能力などの処理を行う。

 アタック時能力の処理後に【カットイン】の宣言タイミングが発生し、【カットイン】の記述があるユニットの能力やマジックなどはここで使用することができる。

 また、相手ターン中の場合は、相手の攻撃宣言後、自分の場に[未行動アンタップ]のユニットがいればそのユニットを[行動済タップ]することでブロックを宣言することができる。そしてブロック宣言がされた場合、アタックしているユニットとブロックしているユニットのパワーを参照し、低い方はバトルに敗北するため破壊されトラッシュへと置かれる。(同値の場合は相討ちとなり、互いにトラッシュへと置かれる)

 ↓

『エンドフェイズ』

 バトルフェイズの終了が宣言されたとき、即座にエンドフェイズに移行する。

 互いに手番の終了を確認しあい、相手の手番へと移る。



 以上のようにお互いの手番を交互に繰り返しながら、場に展開したユニットで攻撃を仕掛け、先に相手に5点のダメージを与えたら勝利ヴァンキッシュとなる。


 この世界においてこのルールは広く浸透しており、多くの人々がより強いヴァンキッシャーとなるために研鑽を続けているのである。



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