16話 デートの約束
16.デートの約束
ちょっと強引だったかもと思ったが、来週の金曜も食事の約束ができた。
頑張って毎週誘っているうちに、いつの間にか約束しなくても毎週金曜は2人で食事するのが当たり前のようになっていた。
それからは毎週金曜が待ち遠しくて、毎日が楽しくて、幸せだった。
以前の、何も言えない裕子とは違う、いろいろな話を2人でして、結構盛り上がったと思う。
克己も最初のころに比べると、他人行儀なところがなくなり、親しい友達関係までになっている。
裕子は、毎週金曜が定番になってから、克己に思いのままを言う事にした。
「私、毎週金曜日に高谷さんとお食事するのがとても楽しいです。離婚してから、こんなにたのしい事はなかった。今は毎週金曜日が楽しみになっています。」
「俺もこうやって裕子ちゃんと食事するのが楽しくて、その間はいろんないやな事が忘れられるよ」
「高谷さんにそう言ってもらえてうれしいです。」
「じゃあ、来週は私がお店を探しておきますね」
「うん、よろしく」
あるとき、裕子は勇気をもって、高谷を誘った
「高谷さんって土日のお休みは何しているんですか?」
「う~ん、家に1人でいると色々いやな事を思い出すから、図書館に行ったり、映画見に行ったり、車乗ったりして暇つぶし しているかな」
「暇つぶしですか、じゃあ今度の土曜日、私の買い物に付き合ってくれませんか?」
「俺でいいの?」
「ぜひ、お願いします。」
「じゃあ、お付き合いします」
「待ち合わせ場所や時間はラインで連絡しますね」
「うん」
(やった、克己さんとデートの約束しちゃった)
裕子は天にも昇る勢いで喜んだ。それからの毎日は金、土と大イベントが続く
いままでの人生で一番楽しいできごとだった。
土曜に何を着て行こうか考えるのがとても楽しかった。
しかし、ふと我に返ってみると、私自身、デートなんて数回しか経験した事がない。
そういえば、彩さんとデートしてた時はどんな感じだったのだろう、どこに行ったんだろう。と考えると、私なんか経験も少ないから、彩さんみたいな楽しいデートなんてできないと思い、落ち込んでしまった。
そういえば、高谷さんは家にいるとイヤなことを思い出すから・・・・・って言っていた。
そこで一生懸命デートコースを考えてみても 、彩さんのような経験豊富な人とのデートに勝てる訳がない。
もしそういうデートができたとしても、彩さんとの事を思いだしたら、と考えると、自分の思慮の浅さに落ち込んでしまった。
本当に買い物目的に付き合ってもらって、お礼になにかごちそうするのが一番かもしれない。
自分なりのおしゃれで、必要な物でなかなか買いに行けなかった物の買いもの・・・・、
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