13話 柴田裕子2
13.柴田裕子2
男性経験のほとんどない裕子にとっては、大失恋だった。
それから、職場で笑顔の克己と彩を見るたび胸が苦しくなり、家に帰っては泣いていた。
2人は結婚し、彩は寿退社した。
克己の結婚生活の話をよく聞くが、裕子の思い描いていた理想の夫婦生活だった。
克己は妻にやさしく、他の結婚した男性社員は1年もたつと、仕事が早く終われば飲み会、土日はゴルフだスノボだと言ってほとんど家を顧みない。
でも克己だけは仕事が終わるとさっさと家に帰り妻との会話を楽しんだり、土日は妻とデートしたり、時々1泊2日の旅行に行ったりと家庭思いのやさしい旦那様。
それを聞いて自分に勇気があったら、彩より先に告白し、もっと迫ったのに、と後悔ばかりしていた。
裕子は経験した事のない失恋とその後に聞く克己の理想的な結婚生活の話で、むなしさと後悔が、自分はもう恋なんてできないだろうという思いが重なり、何も張り合いもない、日々仕事と自宅の行き来だけの生活を送っていた。
中学時代の同窓会の招待状がきたので、気分転換にと参加してみることにしたところ、そこで面識のある男性から突然告白され、良くも悪くもない印象だったが、言われるまま、付き合うことになり、そのまま結婚した。
ただ彼の収入が低く、女子社員とはいえ大手5大商社の正社員、彼よりも給料は良い。
寿退社はあきらめ、2人共働きをしていた。
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