14話 柴田裕子の離婚

 14.柴田裕子の離婚


 新婚生活は最初のうちは何の問題もなかったが半年ほどたった頃から、旦那が本性を現した。


 賭け事(ギャンブル)依存症。


 最初は土曜か日曜に3-4時間ほど本屋に行ってくると言ってこっそりパチンコをしていたのだ。


 それがだんだん平日は残業といいながら麻雀。土日は競馬、競輪、何もないときはパチンコとほとんど家にいない生活。


 ある時金融会社から督促の封筒が家に届いた。


 旦那は、だんだん生活費を家に入れなくなり、裕子は、夫を疑っていたので、その封筒に中身を見ると、借金返済の督促だった。


 夫がいつものように競馬から帰ってきて、普通にしていたところ、この督促状を出して問い詰めると、すべて賭け事で使っていた事を白状した。


 さらに給料もボーナスもすべて賭け事に使って、預金残金はほとんどなかった。


 裕子は、夫の両親にこの事を伝え、夫の両親からお金を工面してもらい、この借金を返済し、自分の両親と夫の両親を交えて話し合いをして、今後夫は賭け事をしない、ちゃんと生活費を家に入れることを約束させ、なんとか収めた。


 しかし、こういうことはそう簡単にやめられない。


 同じ事は続く、最初は賭け事をやめ、生活費を家に入れ、土日も家にいたが、また始めていた。


 競馬は場外馬券売り場に行かずに指定口座を開設し、ネットで賭けていた。


 パチンコは昼休みや仕事中での外出先で。


 麻雀は週に2回ほどあたかも残業があるかのようにして。


 家にお金を入れていたので手持ちのお金が少ないことから、親からお金を借りていた。


 親ぐるみで裕子をだましていたようなものだ。


 結局親から借りるお金でだけでは足りず、また金融ローン会社から借金をして、その督促状が家に届いた。


 裕子は、夫はもう賭け事はやめて、ちゃんとお金も家に入れているから問題は解決したと思っていたところに、また金融会社から封筒が来たので、最初は単なるDMか何かと思って気楽な気持ちで中身を見ると、借金の督促状だった。


 もともと失恋で心が弱っていた隙間に入ってきた男、それほど好きでもなかったが、押し切られるように結婚。固執はなかった。


 裕子は本人を問い詰め、自分の両親と相手の両親を集め、離婚の意思を表した。


 相手の両親は浮気じゃないんだから、借金は親が負担するからと離婚を引き留めたが、

 前回に懲りず、約束したにも関わらず、再発したことを責めた。

 途中から開き直って、でも最終的には相手の両親も素直に認め、離婚届けに署名押印し、次の日に区役所に届け、離婚が成立した。


 裕子の結婚生活は2年で終わった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る