12話 柴田裕子1
12.柴田裕子1
《奥さんの浮気が原因で、高谷が離婚した》
その噂が、柴田裕子の耳にも入った。
それが本当なら・・・・、
新入社員当時、柴田裕子は2つとなりの課に配属された。
斎藤彩とは同期入社だった。
斎藤彩は見た目も美しく身長もありスタイルもよく明るく活発で回りの男性から積極的に声をかけられてた。
それに比べると、おとなしく、人見知りするタイプでよく見ると色白のかなりの美人だが、この性格とそばに対照的な彩がいるためほとんど目立たたない存在。
特に男耐性が低いため、イケイケで押しまくる男性に話しかけられると固まってしまい、頑張っても「はい」「困ります」くらいしか言えないほどであった。
高校から女子高で大学も国立女子大学と男性と接する機会がなかったのに加え、本人のこういう性格から、男性は苦手だった。
男性社員から強引に仕事を頼まれると、うまく対応できず固まってしまい「はい」しか言えず困っているところにいつも克己に助けられていた。
克己はもの静かに丁寧でやさしく、困っている裕子に近づき仕事を教えてくれた。
それが何回も続くうちに裕子は克己を意識し始め、克己が手伝ってくれることを期待するようになった。
まわりの男性社員はほとんどイケイケどんどんぐいぐい行くタイプが多い中、克己だけはもの静かでやさしく丁寧、他の男性社員には「はい」くらいしか言えないが克己には何とか日常会話くらいは話せる。
だんだん克己の事が好きになっていったが、自分から克己を食事や飲みに誘うほどの勇気はなく、なんとか克己と同じ課の女子社員に頼んで克己を食事に誘い、職場以外で2人で話ができる機会を得る事ができた。
2人で食事をしながら話をしてみると、予想どおりのやさしい、良い人、自分にとって理想的な男性に思えた。
何とか勇気を振り絞って、何度か同じ課の女子社員に頼み、途中から自分で食事をする約束をして、何度か食事をしたが、毎回、今日は告白しようと決心して行くのだが、いつも言えず、次は・・・と思っていたところに、克己が同期の彩と婚約した、と聞き、その日は全然仕事に手に付かず、家に帰って朝まで泣いた。
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