6話 離婚2
6.離婚2
「ごめんなさい」ようやく認めた
俺は頭に血が昇って、完全に切れた。
「君の彼氏に電話してくれるかな」皮肉っぽい言い方をしたのに反応しない。
「えっ、今?」
「そう、今」
「でも・・・・・・」
「そんなに彼氏が大事なの?」
「そうじゃないけど、彼には家族がいるし」
「彩にも家族がいるんじゃないの? 彩の家族より彼の方が大事なの? それとも、彩にはもう家族と思える人はいないの?」
それを聞いてしぶしぶ彼に電話した。
かなり抵抗したが、スピーカーにさせて、2人の会話を聞いた。
「もしもし、彩? ちょっと待ってね、ごめんね、今1人になったから大丈夫だよ、何?今度の旅行の事?」
「ほう、2人で旅行ね~」
俺がムスっとしてそう言うと、彩は苦虫をつぶしたような顔をした。
「もしもし、はじめまして、私、高谷克己と申します。一応彩の夫をしてます」
「えっ? 彩さんの旦那さんですか、」
「どういう内容の電話かわかってますよね」
「えーー、彩さんのスクールのお話ですか」
「もうばれてるんですよ、まだしらを切るつもりですか」
「はーーーっ?」
「明日、こちらに来ていただけますか?」
「いやーー、明日は仕事なんでーー」
「それじゃあ 職場にお伺いしますが、よろしいですか」
「それはちょっと」
「それじゃあ こちらに来ていただけますか、それと奥さんも一緒に来ていただけますか?」
「妻はちょっと 」
「では、こちらから直接奥さんにお話しますね、奥さんおられますか? 」
「そっ、そっ、それは困ります。」
「もう隠してもどうしようもないんですよ、明日、必ず奥さんと一緒に来ていただけますね」
「・・・・・・はい、わかりました」小さな声でそう答えた。
あやしいとは思ったが、もし奥さんを連れてこなかったら、直接奥さんに話せばいいことなので、そのまま電話を切った。
妻は観念したのか俺に何度もあやまってきたが、最後までうそをついてごまかそうとしていた事に俺はもう信用できなくなり、一切返事をしなかった。
くそつ 俺はこんなに愛して、妻の事を考えていたのに、なんでこんな事に・・・胸がどんどん苦しくなり、いつのまにか1人で泣いていた。
妻が俺に近寄って、肩に手をかけてきたが、それを振りほどいて、
「触らないでくれ」
「今日から俺は納戸部屋に寝るから、今後の事については明日話し合おう」と言って1人で納戸として使っている部屋にふとんを敷いて眠ることにした。
なかなか眠れず、2人が俺に隠れて愛し合っていたことが頭の中を駆け巡り嫉妬と悲しみでいっぱいになり、結局眠れないうちに朝になってしまった。
妻もどうやら眠れなかったようで、朝早くから朝食を作ってテーブルに並べていたが、俺はそれを無視してコンビニに行っておにぎりとサンドイッチを買って、それを食べた。
ずーっと沈黙がつづいた。ときどき妻が
「あのー」
「何!」強い口調で俺が答えると
「ごめんなさい」と言うが、俺は無視した。
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