第2話 朝市に向けて
ユーリーがダンテを揺り動かす
まだ夜明けには少し早い時間
「んー、なに?」
「気配に囲まれてる」
その一言でダンテの目覚めが急に早くなる
子供の目からまるで獣の目に変わるような感じで
一気に周りに集中する
「大丈夫だ。森神がよこした小わらだよ」
「外に出たのになんで?」
「外に出たからだよ。入口に長くいるとたまに、引き戻しに来る
でも、人は森の者であって森の者じゃない
それで、どーしたものか迷ったんだろうな」
ダンテは起き上がると
もとの子供のような気配に戻って小わらに近づいてく
身体があるわけではないのだが
その白い影をなでるようなしぐさをしながら
「2日足らずくらいで帰るよ
少し外へおでかけしてきます」
そういうと小わらたちは群れのまま静かに消えていった
「もう一度寝なおすのもなんだよなー」
そう相手に聞こえる程度の声でつぶやくと口笛を吹いた
ほどなくして夜行馬が走ってくる
野生の馬とは少し違う
調教はされているが普段は野生で暮らさせている馬だ
訓練はされてるが、そのせいで野生も色濃く残り扱いづらい
しかしforestはこの形態を好むというより
外の生き物はこの形態でなければ飼えないのだ
森の中に連れ込めば・・・多分一昼夜で森の虫の餌となりかねない
荷物を脇に一つずつぶら下げて
ダンテが前に乗りユーリーがしがみつく形で
二人は馬を走らせ草原を駆け抜けた
街についた時は白みかけている空模様だった
「朝市にまにあいそうだな」
「朝市かぁ、初めてかも」
「俺と来るのは初めてだろうな」
「チクリとも外には出るけど・・・なんてかそっけないからなあいつ」
「まーな。話はしないよな。でもいい奴なのは俺が保証する」
「へー、女たらしで有名だけど」
「噂だろ、女専門みたいな数で面倒みてるからなぁ
みる女は大抵、一人じゃ行動できないレベルの女だし
結果、その後も世話されてたり名指して案内役選ばれるから
そんな噂が立つ。チクリはあれで一途でさ
カモーナ一筋のはずだぜ」
「カモーナって伝説の女戦士のカモーナ?」
「そそ、それ。強すぎて他の男は近寄らないが・・・二人は幼馴染だしな」
「ほー、初めて聞く話だ」
「そりゃ初めて話すし、他から聞ける話じゃないしな」
「同僚ならではか」
ダンテがくすりと笑う
「いや、同じ村の同期・・・すなわち俺も二人とは幼馴染」
「あー、なるほど・・・って、ダンテって実はすごい人?」
「さてね?朝市に間に合わせるぞ支度しろ」
二人は慌てて朝市の用意を始めたのだった
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