第22章、説得
ガチャ、
家の玄関ドアを、そおっと開けて中に入り、二階に行こうとしたとき、母親に見つかった。
「浩太お帰り、あら、浩太どうしたの、その傷、あら大変お父さん、お父さん、大変浩太がたいへんな事になってますよ」
母親が慌てて父親を呼んだ。
「お母さん大丈夫だよ、そんなに慌てないで」
浩太がなだめようとしても、予想どおりまったく話も出来ない状態だ。
「どうしたんだ、大きな声を出して、浩太がどうした」
父親がゆっくり二階から降りてきたが、浩太の姿を見るなり慌てて浩太に近寄ってきた。
「どうしたんだその傷、また学校で何かあったのか」
いくら温和な父親でもあざだらけになったのが二度目なので、さすがに今度ばかりはとりみだした。
「お父さん、とにかく落ち着いて、順をおって話すからとにかく上がろうよ」
浩太は、学校に通い始めてから今日までの事を順をおって説明した。
父親は一応理解したが、修一と秀平と新田の両親と一度話をする必要があると考え連絡をとりその日に来てもらった。
予想どおり、他の両親もひどく心配していたようだった。
大人八人と子供四人で話し合ったが大人の意見は学校に連絡してしかるべき対応をしてもらうという意見だった。
それに対し子供達の意見は問題解決を自分達でしたいという意見で全く平行線のままで、解決の糸口が見えない状態だったが、浩太の父親が子供達の意見を尊重して、もうしばらく様子をみるという話にまとめて、なんとかこの件の話は落ち着いた。
その夜浩太はベッドの中で今後について、かかしさんと相談した。
「今日あざを作って帰ってきたのはやっぱりまずかったね」
「そうだね、それで浩太は助けに戻ったこと後悔してる?」
「ううん、ぜんぜん。
今回は、僕らが肉体的に弱かったからこんな事になってしまっただけだろ、今までは、抵抗する勇気もなかったから僕は、なにもかもいやになり、自殺までしようとしたんだよ。
だけど、かかしさんや、新田くんや他の人達に出会えて、今のままではだめだ強くならないとだめだ、と考えるようになったから今回、新田君を助けようと思えたんだ。
肉体的に強ければこんなに、やられなかったと思うけどね。
二度とこんなことがないように、ぜったいに強くなりたいんだ。
でも、暴力には暴力っていうのは、ちょっと違うというのもちゃんと理解しているつもりだから心配しないで、あくまでも身を守る手段でけっして使いかたは、間違えないから。
そうでないと不良たちと同じだからね」
「浩太、一つだけ約束してくれないか。
けっして危ない事はしないって」
「うん、わかった」
かかしは、浩太がケガをすることだけはないようにしっかりサポートだけはしていかなければいけないと思った。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
おさまらない体の痛みを感じながら、浩太は深い眠りに入っていった。
次回、第23章、不良達と再び
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