第19章、反不良同盟結成

「やめろよ」


「おっ、浩太じゃねえか。

いいところにきた。

じゃあおめーが代わりに金だせよ」


浩太は俊平の手を引っ張って、

「こんなやつら相手にすることないよ」

そう言って、たちさろうとしたが、不良たちに

あっという間にかこまれ、絶対絶命のピンチにおちいった。


「浩太てめー、新田とつるんだからといって調子にのるなよな。

また、殴られてーのか」


ちょうどその時、新田が通りかかった。

「てめーら朝から楽しそうなことやってんじゃねえかよ」


「新田、てめーこのやろー、また邪魔しにきたのか」

「くそ、もおいい。行くぞ」


「でもよ」


「いいから行くぞ」

不良達は諦めて去って行った。


「浩太おめー、昨日とにかく逃げろって言ったべ」

新田は呆れて言った。


「ごめん、ちょうどこの人がお金巻き上げられそうになっていて、それでつい。

そういえば君、名前何ていうの」


「後藤俊平、助けてくれて有り難う」


「僕は今井浩太、宜しく」


「僕は佐藤修一、宜しく」


「俺は新田竜司、宜しくな、って自己紹介してる場合じゃねえだろう。

おめー全く知らねえ奴助けようとしたのか。呆れて物も言えねえな。

なんどもいうけど、おめえらが何人束になってかかっていっても勝てはしねえぞ」


そのとき、かかしがとても面白いことを思い付きそれを瞬間的に浩太にイメージとして伝えた。


浩太はなるほどという顔をして、みんなにそれを話し始めた。

「みんな、いい考えがあるんだけど」


「何、どんな考え?」


「僕らで組織を作るんだ」


「何、組織?」


三人が同時に聞き返した。


「そうだよ、組織」


新田は何を言い出すんだという顔をしながら聞き返した。


「何の組織だよ」


「不良グループに対抗する組織だよ。

名付けて、反不良同盟」


「なんだそれ、なにをするんだ」

みんな、首をかしげた。


「僕達の他に、やつらに嫌がらせされている人たちってきっといると思うんだ。

そういう人を探して僕らで助けてやるんだ。

そして、僕らの組織に入ってもらって、組織の輪を広げこの学校から、暴力やいじめを無くすんだ」


「なくすんだっていったって、おめー正気か」


新田は浩太の言葉にあきれ返った。


「うん正気だよ、やろうよ。

そして、リーダーを新田くんにやってもらいたいんだ。

反不良同盟のリーダーとして君ほど適任者はいないよ」


新田は慌てて、

「ちょっと待てよ。

やるともいってねーのに、何でリーダーって話しになんだ。

でもなかなか面白そうじゃねえか。

やってもいいけど、そのかわり条件がある。

俺はリーダーってがらじゃねえ。

どうだ、言いだしっぺの浩太がリーダーやるっていうなら、その反不良同盟ってやらに、入ってやってもいいぞ。

みなどうだ」


「賛成、新田君がいれば百人力だ」

他の二人も賛成の意を唱えた。


「よし決り、明日、、集まって作戦会議といこうぜ!」


「おー」


その夜浩太の部屋で反不良同盟の第一回目の作戦会議についてかかしと浩太で話し合いを始めた。

「浩太、何だか面白くなりそうじゃないか」


少し不満そうに、浩太が答えた。


「かかしさんが変な提案するから僕がリーダーになったじゃないか」


「でも、この話を持ちかけた時浩太も、のりのりだったじゃないか」


「うん。

そうだけど、でも、それはカリスマ性の高い新田君がリーダーで初めて成り立つんじゃないの。

僕じゃだめだよ」


「そうじゃないよ。

新田君は君の資質を見抜いた上でリーダーを勧めたと思うよ。

実際に後藤俊平君と、佐藤修一君を助けたのは誰」


「そりゃ、僕が飛び込んで行ったけど、最終的には新田君が助けてくれたから、助かっているんだよ」


「最終的にはそうだと思うけど、新田君は浩太自身が二人を助ける為に不良達に立ち向かった、その勇気を買っているんじゃないのかな。

それに、あの二人も最初に助けにきてくれた浩太がリーダーやってくれたほうが嬉しいんじゃないかな」


「そうかな」


「もっと自分に自信持ちなよ」


「わかったよ、それならもっと僕自身本当の意味で強くならなきゃ。

精神的にも肉体的にも。

ブルースリーやジャキーなんとかみたいに」


「だ、か、ら、ジャキーなんとかじゃなくてジャッキーチェーンだよ、ジャッキーチェーン」


「そう、そのジャッキーチェーンみたいに」


「本気か」


「本気だよ。そうでないとあいつらと出くわしても逃げるしかないじゃないか。

本来、みんなをまもらなきゃならない僕が弱っちいんじゃ話にならないよ。

でも、どうやったらいいか?」


「それだったら大丈夫。

とってもいい先生がいるじゃないか」


「誰」


「新田君だよ、新田君」


「そうか、でも教えてくれるかな」


「大丈夫だよ。

浩太の熱意が伝わればきっと力になってくれるさ」


「そうだね、じゃあさっそく明日お願いしてみるよ」


次回、第20章、作戦会議

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