第10章、自殺(かかしの目線)
こんな時にカラスの奴め、今はお前達の相手をする気分ではないのだ。
頼むから何処かにいってくれ。
そう、かかしが念じるとなぜかカラスやスズメ達は一斉に逃げていった。
そしてしばらくすると、遠くからこちらに近ずいてくる人影が見えた。
よく見ると着ている服はボロボロで、体中あざだらけで、靴も片方がなく、まるでボロ雑巾のようにも見える少年がこちらに歩いてくるではないか。
ん!
あれは浩太?
浩太じゃないのか。
無事だったんだな。
いや、その状態をみると、とても無事とはいえないな。
一体何があったんだ。
オイラはどうすればいいのだ?
心配しても、どうすることもできやしない。
浩太、
浩太。
なにをするのだ。
そんなガラスなんか持って、やめろ、すてるのだ。
やめろ、
やめろ、
やめろー。
浩太がガラスの破片で手首を切ろうとした、まさにその瞬間、かかしが生まれ変わった時と同じ様に何処からともなくとても優しく心地良い柔らかい感覚の風が、ぴゅうーと吹き抜けたと思えば浩太は全身の力がすーと抜け、そのまま倒れこんで気を失ってしまった。
次回、第11章、お釈迦様の使い
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